Dマート

Dマートの歴史と展開

Dマート（ディーマート）は、かつて株式会社ダイエーとその前身の株式会社ダイエーマートが運営していたディスカウントストアである。この店舗の展開は1980年から始まり、当時の日本における流通業態の変革を象徴するものであった。

概要と誕生背景

1970年代後半、日本では物不足が徐々に解消され、単に商品を並べるだけでは消費者にアピールできなくなっていった。当時のダイエーは、従来の売上の伸び悩みを背景に、新たなビジネスモデルとしてディスカウントストア事業への参入を決定した。この新しい形態の店舗、Dマートは、特に郊外に展開され、食品を中心に力を入れることを特徴としていた。

Dマートの誕生は、1980年8月にアメリカのディスカウントストアチェーンであるKマートと提携したことから始まった。Kマートはダイエーに対し、アメリカ式の店舗運営やディスカウント店舗の設計に関するノウハウを提供。これにより、ダイエーは価格競争力を強化し、競合に対抗することに成功した。

初の店舗であるDダイエー草加店は1981年4月に開業し、これを皮切りとしてDマートは次々に全国展開を進めた。Dダイエーという名称は草加店でのみ使われたが、その後すぐにDマートへと変更された。

店舗展開

Dマートは、主に郊外での店舗展開において成功を収めたが、その後の経営環境は厳しさを増していく。1987年にはDマートの店舗がダイエーに吸収される形で経営が見直され、1988年には運営子会社であるダイエーマートが清算された。これに伴い、長らく店舗数は少数に留まっていたが、忠実屋との合併を契機に、既存の店をDマートへと転換する動きが進んだ。

しかし、その後のダイエーの経営再建の流れの中で、店舗の閉店や別業態への転換が進行。2007年3月8日、最後のDマートであった草加店もダイエーに転換され、この時をもってDマートはその歴史に幕を下ろした。

存在した店舗

Dマートにはいくつかの店舗が存在しましたが、後にダイエーに再転換されるなどし、現在では数えるほどの店舗しか残っていない。主な店舗には以下のようなものがありました：

• - 栃木県：小山店、足利店
• - 埼玉県：草加店、秩父店、本庄店、岩槻店、幸手店
• - 千葉県：君津店、松戸店、我孫子店、稲毛海岸店、南行徳店、木更津店
• - 東京都：赤羽店
• - 神奈川県：海老名店、阿久和店
• - 愛知県：高浜店
• - 大阪府：金岡店
• - 兵庫県：花北店

以上のように、Dマートはディスカウントストアの先駆者として一定の役割を果たし、流通業界において一時代を築いたものの、変化する市場環境には適応しきれずに消滅してしまった。市場のニーズの多様化に伴い、消費者の購買行動も変わり続ける中で、Dマートの歴史は流通業態の変遷を物語る重要な事例となっている。

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