D-デイ

D-デイ：軍事作戦開始日を指すコードネーム

D-デイ(D-Day)は、アメリカ軍で用いられる軍事用語で、重要な攻撃や作戦の開始日を指します。戦略上の開始日を漠然と表す「Day」の頭文字Dが由来という説が有力です。

ノルマンディー上陸作戦とD-デイ

歴史上最も有名なD-デイは、第二次世界大戦中の1944年6月6日です。この日付は、連合国軍によるナチス・ドイツ占領下のヨーロッパへの侵攻作戦であるオーヴァーロード作戦の開始日でした。この作戦、すなわちノルマンディー上陸作戦は、連合国軍の勝利に大きく貢献し、ヨーロッパ戦線における転換点となりました。

当初、ノルマンディー上陸作戦の開始日は6月5日に予定されていましたが、悪天候のため、連合軍最高司令官ドワイト・D・アイゼンハワー元帥によって翌6日に延期されました。この6月6日が「D-デイ」として広く知られるようになり、一般的に定着しました。

D-デイの普及と代替アルファベットの使用

1944年6月6日のD-デイが広く知られるようになった結果、以降の軍事作戦では、開始日を指す際に「D-デイ」という表現を避ける傾向が強まりました。作戦の重要性を示す名称として「D-デイ」が既に使われていたため、混乱を避ける必要があったのです。

例えば、ダグラス・マッカーサー元帥率いるレイテ島への侵攻作戦は「A-デイ」、沖縄侵攻作戦は「L-デイ」と呼ばれました。マッカーサー元帥は、さらに後の日本本土侵攻作戦についても、九州への侵攻を「X-デイ」、関東への侵攻を「Y-デイ」と提案していました。これらは、それぞれ作戦計画名に合わせたアルファベットが使用されていると考えられます。

関連用語：H-アワー

作戦開始時刻を表す際に「H-アワー」(H-hour)という用語も用いられます。これは作戦開始時刻を基準として、時間経過を表現する際に便利で、例えば「H+2」は作戦開始2時間後という意味になります。D-デイとH-アワーを組み合わせることで、作戦開始日時を正確に、かつ簡潔に表現することができます。

まとめ

D-デイは、軍事作戦における開始日を指す簡潔で重要な用語です。ノルマンディー上陸作戦を機に広く知られるようになりましたが、その後の作戦では、混乱を避けるため、他のアルファベットを用いた名称が用いられるようになりました。D-デイという表現は、歴史的な重要性と、作戦開始日を明確に示す簡潔さから、今も軍事用語として理解されています。また、H-アワーと合わせて使用することで、作戦開始日時をより正確に表現することができます。

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