DATEX II

DATEX II: 欧州の交通情報交換の基盤

DATEX II（デイテックス・ツー）は、欧州における道路交通情報の効果的な交換を目的としたXML形式のデータ仕様です。この仕様は、主に道路事業者や交通情報プロバイダーが活用しており、リアルタイムで情報を共有することで、交通の円滑な運営を支援しています。

概要と目的

DATEX IIは、欧州委員会の支援のもとに開発され、欧州全域における高度な道路交通システム（ITS）内での相互運用性を高めるための標準として位置付けられています。CEN（欧州標準化委員会）によるEN 16157シリーズとして採用されており、欧州各国の道路管理者や交通情報提供者が共通に利用できる言語として機能します。

特徴

DATEX IIの主な特徴には、以下が含まれます。

• - XMLスキーマ: 拡張可能なデータモデルにより、多様な交通情報（事故、渋滞、気象、道路工事、車線規制、駐車場の空き状況など）を詳細に記述できます。
• - プロファイル・レベル定義: 利用者のニーズに応じて実装を調整できる柔軟な設計がなされており、幅広い用途に適応します。
• - 他ITS標準との統合: INSPIREやTN-ITSなど、他のITS標準との相互運用を意識して設計されています。

利用事例

DATEX IIはEU圏内の様々な場面で広く使われています。たとえば、EU域内における国境を越えた交通状況の共有、リアルタイムの事故情報の提供、可変情報板（VMS）での情報表示、スマートフォンアプリでの通知などに利用されています。

特に、欧州連合が進めるNational Access Point（NAP）政策において、DATEX IIは共通データ形式としての役割を果たしており、欧州交通情報のデジタル化と情報の一元化に大きく貢献しています。これにより、国境を越えてもスムーズな情報共有が実現されます。

歴史

DATEX IIの開発は2000年代初頭にスタートし、初代のDATEXを引き継ぐ形で設計されました。このプロジェクトは、欧州ITSプロジェクトの一環であり、「DATEX II Coordination Group」によって進められています。現在も進化を続けており、新しいバージョンや技術仕様書、利用ガイドラインが公式ウェブサイトを通じて公開されています。

まとめ

DATEX IIは、欧州における交通情報の交換を円滑にするための重要な標準仕様であり、多数の利便性と将来性を備えています。この仕様は、進化し続ける交通環境に対応するための柔軟性と、広域な情報ネットワークを支える基盤を提供しています。

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