DAYS JAPAN

DAYS JAPAN：2つの時代と終わり

「DAYS JAPAN」という名称は、日本のジャーナリズム史において、2つの異なる雑誌を指します。どちらも写真と記事で社会問題や国際問題を深く掘り下げた点では共通していますが、その歴史と結末は大きく異なります。

講談社版 DAYS JAPAN（1988年-1990年）

1988年3月、講談社より創刊された『DAYS JAPAN』は、総合月刊誌としてスタートしました。創刊号には、チェルノブイリ原発事故やスリーマイル島原発事故などを題材とした、衝撃的な特集記事が掲載されました。編集陣には、著名なジャーナリストや写真家が多く参加し、世界各地の紛争や環境問題の現場を取材、写真と記事で社会に警鐘を鳴らしました。

特に、広河隆一氏による連載「地球の現場を行く」は、ネバダ核実験場の被害や、ナバホ・インディアンの聖地でのウラン採掘問題などを詳細に伝え、大きな反響を呼びました。

しかし、1989年11月号で掲載された「講演天国ニッポンの大金持ち文化人30人」特集における講演料の金額記載に誤りがあったことなどから、1990年1月号をもって廃刊となりました。発行部数の増加や広告収入の増加にもかかわらず、赤字経営が続き、社内における対立も廃刊の一因とされています。

株式会社デイズジャパン版 DAYS JAPAN（2004年-2019年）

旧『DAYS JAPAN』に関わった関係者によって2004年4月に創刊された『DAYS JAPAN』は、フォトジャーナリズム誌として生まれ変わりました。広河隆一氏が初代編集長を務め、より写真に特化した誌面構成となりました。

紙面は旧版よりも高品質な紙を使用しましたが、ページ数は減少。写真と短い解説文が中心となり、ビジュアル重視の誌面となりました。広告掲載も少なく、読者からの購読料や寄付金が主な収入源でした。

創刊当初から「一枚の写真が国家を動かすこともある」「人々の意志が戦争を止める日が必ず来る」という理念を掲げ、世界の紛争や環境問題、貧困、人権問題などを継続的に取材し報道していました。東日本大震災と福島第一原発事故では、その惨状をいち早く報じました。

しかし、2018年、経営難や広河隆一氏の健康問題、後継者不足などを理由に、2019年3月号で休刊、株式会社デイズジャパンも解散しました。同年、広河隆一氏によるセクハラ問題が発覚し、大きな批判を受けました。被害者支援のため「DAYS元スタッフの会」が結成されるなど、その後の対応にも課題を残しています。2020年には、会社は破産手続き開始決定を受けました。

両誌の共通点と相違点

両誌とも、社会問題や国際問題への深い関与、写真と記事を組み合わせた報道姿勢を共有していました。しかし、前者は総合月刊誌として多様な情報を網羅的に扱う一方、後者はフォトジャーナリズムに特化し、写真による訴求力を重視した点が大きく異なります。また、前者は大手の出版社である講談社が発行元であったのに対し、後者は独立系の出版社である株式会社デイズジャパンが発行元であった点も異なります。

そして、DAYS JAPANの遺産

どちらのDAYS JAPANも、ジャーナリズムのあり方や、写真報道が持つ力について、多くの示唆を与えてくれました。その功績と反省点は、今後のジャーナリズムの発展を考える上で、重要な教訓となるでしょう。

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