DF-15 (ミサイル)

DF-15 (東風-15)

概要

DF-15は、中華人民共和国によって開発された短距離弾道ミサイル（SRBM）です。中国国内での正式名称は「東風-15」（Dong-Feng-15）と称され、輸出市場においてはM-9、またアメリカ国防総省（DoD）においてはCSS-6というコード名で識別されています。現在、本ミサイルは中国人民解放軍のロケット軍の主たる装備の一つとして運用されています。

開発と配備

本ミサイルの開発プロジェクトは1985年に始動し、その設計は1987年に正式に承認されました。実射試験は1980年代後半から1990年代にかけて、中国国内の広大なゴビ砂漠で行われたとされています。配備状況に関して、2009年時点におけるアメリカ国防総省の推計では、年間100発を超えるペースで生産・増備が進んでおり、総配備数は350から400発、これらを運用するための移動式発射機（TEL）は90から110基が存在すると見られています。これらのミサイルの大多数は台湾を主要な想定目標としており、台湾海峡に面する福建省をはじめとする沿岸地域に集中的に配備されていると考えられています。この集中的な配備は、台湾に対する抑止力および潜在的な攻撃能力を強化する意図に基づいています。

運用特性

DF-15は自己推進式の運搬兼発射車両（TEL）によって運用される、いわゆる移動式弾道ミサイルです。使用される車両はTA5450型またはWS2400型と呼ばれる八輪駆動の大型車両であり、これにより未舗装路を含む様々な地形での移動能力を確保しています。有事の際には、これらの車両はミサイル基地から鉄道網などを活用して迅速に展開し、敵の探知を避けて任意の場所からミサイルを発射することが可能です。運用部隊には支援部隊が付随しており、ミサイル展開時や発射前には煙幕を展開するなど、敵の偵察衛星や航空機からの発見を防ぐための偽装・隠蔽活動を行います。これにより、敵によるミサイルおよび発射機の位置特定と先制攻撃を困難にしています。移動・展開からミサイルが発射可能状態に至るまでの時間は、およそ15分から30分とされており、高い即応性を有しています。また、本ミサイルは輸出も行われており、1990年代にはシリアへの供給があったと伝えられています。

技術仕様

DF-15の主要な技術仕様は以下の通りです。

射程: 600km
弾頭数: 1個
弾頭威力: 350-500キロトン（TNT換算）
エンジン: 単段式固体燃料ロケット
誘導システム: 慣性誘導に加えGPS（全地球測位システム）を使用
CEP（半数必中界）: 150-500m
全長: 9.1m
直径: 1.0m
重量: 6,200kg
ペイロード: 500kg
* 製造元: Academy of Rocket Motors Technology

これらの仕様は、DF-15が地域紛争における地上目標への精密攻撃能力を持つ短距離弾道ミサイルであることを示しています。固体燃料エンジンの採用は迅速な発射準備を可能にし、GPS誘導の追加は従来の慣性誘導のみのシステムと比較して命中精度を向上させています。

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