DF-25 (ミサイル)

DF-25 弾道ミサイル

DF-25（東風-25、Dong-Feng-25）は、中華人民共和国が開発試みた準中距離弾道ミサイル（MRBM）として知られています。このミサイルに関する公開情報は極めて限定的であり、その詳細や現在の状況については多くの不明瞭な点が残されています。

技術的な特徴（推定）

DF-25は、移動式の発射台（TEL車両）から運用されることを想定して設計されたと見られています。これにより、敵からの発見や攻撃を避けるための高い機動性と分散配備能力を持つ可能性があります。
ミサイル自体は二段式の構造を採用していると推定されており、これは比較的長い射程を実現するための一般的な設計です。
推定される射程距離は、情報源によって幅がありますが、概ね1,700キロメートルから3,000キロメートルの範囲とされています。この射程は、周辺国の広範な地域を射程に収める可能性を示唆しています。
搭載される弾頭は通常弾頭であり、大量破壊兵器ではないとされています。
* 推進システムには固体燃料ロケットが使用されていると考えられています。固体燃料ロケットは、液体燃料式に比べて燃料注入の手間が不要であるため、迅速な発射準備が可能となる利点があります。

開発経緯と現状（不明確）

DF-25の開発計画は、1990年代に進められていたとされています。しかし、この計画は順調に進まず、少なくとも1996年には一時的に開発が中止されたと伝えられています。

開発が中断された具体的な理由については、公には明らかにされていません。技術的な課題、予算の問題、あるいは戦略的な優先順位の変更など、複数の要因が考えられますが、これらは全て推測の域を出ません。公的な情報源に裏付けられた事実は、1990年代に開発が開始され、1996年には一時停止したという点に留まります。

1996年以降のDF-25に関する動向は、さらに不明確となります。開発が再開されたのか、あるいは完全に放棄されたのか、公式な情報や信頼できる報告はほとんど存在しません。その存在自体が確認困難であるため、多くの兵器リストや軍事力評価報告書において言及されないことが一般的です。

例えば、アメリカ合衆国政府が議会に提出する「中国の軍事力」に関する年次報告書は、中国人民解放軍の兵器システムに関する重要な情報源の一つですが、2009年に発行された報告書にもDF-25に関する具体的な記述が見られないとされています。これは、このミサイルシステムが当時の中国の主要な戦力構成要素ではなかったか、あるいは開発が継続されていなかったことの可能性を示唆しています。

このように、DF-25は開発の初期段階で計画が停滞し、その後の状況に関する信頼できる情報が極めて少ないという特異な経緯を持つミサイルシステムと言えます。現在、実際に配備・運用されているかどうかは不明であり、計画が事実上終了している可能性も十分に考えられます。

まとめ

DF-25は、中国がかつて開発を試みた準中距離弾道ミサイルであり、移動式発射や固体燃料といった特徴を有すると推定されています。しかし、1996年以降の開発・配備状況は不明瞭であり、公式な情報源にもほとんど言及が見られないことから、その実態や現在の地位は謎に包まれています。今後の新たな情報公開が待たれるところですが、現時点では計画段階で停滞した未確認のミサイルとして位置づけられています。

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