DFS 39 (航空機)

DFS 39、またの名をリピッシュ デルタIVcは、1930年代にアレクサンダー・リピッシュによって設計された無尾翼機です。この機体は、当時の斬新なデルタ翼設計を採用しており、後にロケット戦闘機Me 163の開発に重要な影響を与えました。

リピッシュは、デルタIVの開発以来、デルタI、デルタII、デルタIIIといった設計を手掛け、ゲルハルト・フィーゼラーからの依頼でスポーツ機としての機体設計を進めました。デルタIVは、カナードを搭載し、前後にエンジンとプロペラを配置するユニークな構造を持っていました。しかし、初期の試作機であるフィーゼラー F 3 ウェスペは、操縦性の悪さが原因で開発が中止される運命を辿りました。

それにもかかわらず、リピッシュはこの問題が解決可能であると信じていました。彼はドイツ滑空機研究所とヴァルター・ゲオルギイと連携し、ドイツ航空省からの資金提供を受け、フィーゼラーから試作機を購入。これを元に機体の完成に向けた努力を続けました。

リピッシュとゲオルギイは、カナードを取り除き、後部のエンジンも廃止したデルタIVaを再設計しました。結果として操縦性が改善されたものの、再び事故が発生しました。ドイツ航空省とドイツ航空研究所は、この機体に危険性が伴い、空力的な問題が解決不可能であると結論付けましたが、ヴァルター・ゲオルギイはその研究が中断されることのないよう、懸命に努力を重ねました。

次に、アレクサンダー・リピッシュは彼の設計したストークX滑空機の実験から得た知見を活かし、より洗練された空力的形状を持つデルタIVbを開発しました。この機体は主翼の後退角を小さくし、外翼に下反角を追加するなどして構造を改良しました。さらに胴体を少し延長し、フィンを追加することで、デルタIVcとして再び製作されました。この改良により、機体の性能はリピッシュが求める基準に達しました。

1936年には航空省の試験センターに引き渡され、その操縦はハイニ・ディットマーによって行われました。試験を経て、その優れた安定性と操縦性が認められ、無事滞空証明に合格。航空省から公式にDFS 39の名称を授与されました。

要目（DFS 39）は次の通りです。乗員は1名で、全長は5.06m、全幅は10.21m、全高は2.00mです。搭載されるエンジンはPobjoy Rで、出力は75PSに達します。DFS 39はその抜群の性能により、次世代の航空機、特にロケット戦闘機Me 163の基礎を築く重要な役割を果たしました。

もう一度検索