DIAC

DIAC（ダイアック）とSIDAC（シダック）

DIAC（ダイアック）とは

DIACは、交流電流用に設計されたダイオードの一種で、その名称は "diode for alternating current" の略です。このダイオードはブレークオーバ電圧（VBO）に瞬時に達した後に電流を流します。DIACは一般に、3層または5層の構造を持ち、ゲート端子を持たないTRIACに似た動作をします。内部でブレークダウンが発生すると、正のフィードバックにより、ダイオードは負の動作抵抗の領域に入ります。これにより、流れる電流が急激に増加し、電圧降下は減少します。このスイッチング動作は、通常は数百ナノ秒からマイクロ秒の間に完了します。

ダイオードは、流れる電流が保持電流（IH）を下回るまで導通し続け、閾値を超えると高抵抗の非導通状態に戻ります。この動作は双方向であり、交流電流の両方向に対して同様の特性を持ちます。一般的なDIACはブレークオーバ電圧が約30Vで、3層構造の場合はさらに低い電圧で動作することができます。また、電気的特性はネオンランプに似ていますが、DIACはより再現性が高いです。

DIACはトリガとしてTRIACなどの他のサイリスタと一緒に利用されることが多いですが、独自のゲート端子を持たない点が特徴です。時にはTRIACのゲート端子と直列に接続して使用されることもあります。DIACはその特性から「対称トリガダイオード」とも呼ばれ、ダイオードの端子はアノードとカソードではなく、A1とA2またはMT1とMT2と名付けられています。

SIDAC（シダック）とは

SIDACは、交流用に設計されたシリコンダイオードで、一般的にはあまり使用されないデバイスですが、DIACと似た特徴を持ちます。ただし、SIDACは通常、より高いブレークオーバ電圧と大きな電流処理能力を有しています。SIDACはサイリスタの一種で、別名双方向ブレークオーバダイオードとも称されることがあります。DIACと同様に、SIDACも導通状態になる際、負の動作抵抗を経て導通しますが、5層構造を持つため、電圧降下がより低く、TRIACに近い特性を持ちます。

SIDACは、印加電圧が規定のブレークオーバ電圧を満たすまで非導通の状態が続きます。ブレークオーバ電圧を超えると、導通状態に入ります。この時、電流が保持電流を下回るまでは、SIDACは導通を続けます。このため、SIDACは特定のスイッチング用途だけでなく、一般的なスイッチングデバイスとしても使用されます。

SIDACは他の一般的な電子部品より少し珍しい存在ですが、特定の用途において役立ちます。特に、電圧が低くてスパークギャップが作動しない場合には、SIDACは重要な役割を果たします。SIDACはサージ保護デバイスとしても利用され、過渡的な過電圧に耐える設計がなされています。 これにより、主に電源の過電圧を制御するために金属酸化物バリスタ（MOVs）などと一緒に使われることが多いです。

結論

DIACとSIDACは異なる特性と動作を持つダイオードですが、いずれも交流電流の制御において重要な役割を果たしています。これらのデバイスは電気的特性が異なるため、それぞれの用途や要求に応じて選ばれることが一般的です。

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