Diorama

アルバム『diorama』の概要

『diorama』は、日本の人気ミュージシャン・米津玄師による1枚目のオリジナルアルバムで、2012年5月16日にリリースされました。このアルバムは、米津が「ハチ」という名義でボカロ曲を発表した後、彼自身の名義でのデビュー作となります。米津はインディーズレーベルのBALLOOMからリリースを行い、多くのファンの期待に応える形でこの作品を世に送り出したのです。

リリースの背景

かつて米津は主にボカロを使用し、ニコニコ動画にて注目を集めていました。「結ンデ開イテ羅刹ト骸」や「マトリョシカ」、「パンダヒーロー」などの楽曲は長い間支持を受け、彼の作品には高い評価がありました。しかし、初音ミクといったポップアイコンへの依存から脱するため、米津はボカロの使用をやめ、新たな挑戦となる『diorama』の制作に着手しました。

アルバムタイトルの「diorama」は、フランス語で立体模型を意味する外来語であり、そこからインスピレーションを得ています。このタイトルには、米津自身が表現したい世界観と、自身の創作環境を立体的に表現する意図が含まれていると考えられます。また、ジャケットアートやミュージックビデオのイラストなど、すべてのビジュアルデザインは米津自身によってシャープペンシルのみで描かれています。その中でも特に印象的なのは、背中に町を載せたナマズのイラストで、これは江戸時代の伝統あるナマズ画にインスパイアされています。

アルバムの制作

『diorama』では、米津がギター、ベース、ドラム、キーボードなどの楽器を自ら演奏し、ミックスも手がけています。収録されている楽曲はすべて新たに書き下ろされたものであり、独自の音楽スタイルが際立つ内容となっています。収録曲には「ゴーゴー幽霊船」「vivi」「恋と病熱」があり、それぞれミュージックビデオもイラスト動画として発表されました。特に「ゴーゴー幽霊船」は2012年3月21日にiTunesで発売され、早くからファンの関心を集めました。

さらに、「vivi」は2012年4月26日よりDWANGOで着うたフルとして限定配信され、リリース前から話題を呼びました。このアルバムにはCDに加えてDVDが付属しており、「恋と病熱」のアニメーションミュージックビデオも収録されています。

配信と反響

2020年8月5日には、各種ストリーミングサービスにおいてこのアルバムの配信が開始され、多くの新しいリスナーに触れられる機会が生まれました。多様なメディア展開を通じて、米津の音楽は広く認知されるようになり、彼のスタイルや表現方法に多くの支持が寄せられています。

クレジットと制作チーム

このアルバムには多くのクリエイターが関わっており、ディレクターやアートディレクションを担当したメンバーたちの協力があります。米津自身の他にも、映像制作に関わった飴尾やタスク、アートディレクターのgaphなどがその名を連ねています。音楽制作全般にわたって、米津が中心となって制作を進め、彼の独自の音楽とビジュアルスタイルが見事に融合しています。

『diorama』は、米津玄師の音楽キャリアにおいて重要な第一歩となる作品で、その後の活動につながる基盤を築いたといえるでしょう。

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