DJシャドウ

DJシャドウ（DJ Shadow）、本名ジョッシュ・デイヴィス（Josh Davis、1972年6月29日 - ）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州出身のミュージシャン、音楽プロデューサー、DJ、そして卓越したターンテブリストです。彼はターンテーブルとサンプラーを楽器として操り、トリップ・ホップ、アブストラクト・ヒップホップという新たな音楽ジャンルを切り開いたパイオニアの一人として広く認知されています。

生い立ちと初期の活動

1973年1月1日にヘイワードで誕生した彼は、ベイエリアと呼ばれる地域で青春時代を過ごしました。地元の公共ラジオ局KDVSでのDJ活動を通じて、BlackaliciousやLyrics Bornといった才能ある仲間たちと出会い、彼らと共にレーベル"Solesides"を設立。1991年にはミックステープ「Reconstructed From the Ground Up」をリリースし、そのキャリアをスタートさせました。同年、Lifer's Groupとのコラボレーションで制作した初のレコード・シングル「Lesson 4/The Real Deal」は、プロモーション用としてわずか800枚しか存在せず、現在では非常に希少価値の高いレコードとして知られています。

Mo'Waxとの出会いと革新的なサウンドの確立

その後、彼はイギリスのレーベルMo'Waxと契約を結び、1993年にシングル「In/Flux」を発表。この作品は、UKを中心に発展していくトリップ・ホップの先駆けとして注目を集めました。同年、自身のレーベルからはAsia Born（後のLyrics Born）との共同制作で「SoleSides: SS001」を限定リリース。AAサイドに収録されたシャドウの「Entropy」は、彼が長年培ってきた音楽的知識とセンスが凝縮された革新的なヒップホップであり、「アブストラクト・ヒップホップ」と呼ばれるサウンドの先鞭をつけました。

1996年には、初のソロ・アルバム『Endtroducing.....』を発表。AKAI製のMPC 60とMPC 3000、DAWソフト、そしてTechnics製のターンテーブルとミキサーのみを用いて制作されたこのアルバムは、様々なジャンルの音楽を取り入れながらも、全く新しい音楽の領域を開拓したとして、音楽史に残る傑作として高く評価されています。アルバムのトラックは、彼が足繁く通っていたレコード店の地下室に眠る膨大な中古レコードの中から、丹念に選び抜かれたサンプルを何層にも重ねて編集されています。また、この作品は2001年にギネス・ワールド・レコーズに"First Completely Sampled Album"として認定されました。

多彩なコラボレーションとジャンルを超えた活躍

ソロ活動以外にも、Dan the AutomatorとのDr. OctagonやHandsome Boy Modeling School、DJ Q-Bertとのミックスシングル「Camel Bobsled Race」など、数多くのコラボレーション作品を発表しています。中でも、James Lavelleとのユニット「アンクル」のアルバム『サイエンス・フィクション』は、レディオヘッドのトム・ヨーク、ビースティ・ボーイズのマイク・D、ザ・ヴァーヴのリチャード・アシュクロフトといった豪華アーティストが参加し、大きな話題となりました。

音楽性の変化と新たな挑戦

2006年にリリースされた3枚目のソロ・アルバム「The Outsider」は、これまでの作品とは大きく異なる音楽性を示し、賛否両論を呼びました。彼はこのアルバムについて、「多分みんなは、"あいつ昔と何かが変わったな"と思っているだろうね」とコメントしています。この作品は、彼の人生観に大きな影響を与えた出来事が反映されており、新たな音楽的な方向性を模索する彼の姿勢が表れています。

DJシャドウは、常に新しい音楽の可能性を追求し、ジャンルやスタイルにとらわれない自由な発想で、革新的な音楽を創造し続けています。彼の作品は、多くの音楽ファンやアーティストに影響を与え、音楽史にその名を刻んでいます。

もう一度検索