DKNY

ダナ・キャラン・ニューヨーク（DKNY）

1989年、アメリカ合衆国の高名なファッションデザイナー、ダナ・キャラン氏の主導によって創設されたブランドが「ダナ・キャラン・ニューヨーク」です。このブランドは、その略称である「DKNY」として広く認知されています。ニューヨークという都市のエネルギーと多様性に着想を得て、現代的かつ機能的なスタイルを提案するファッションレーベルとしてスタートしました。DKNYは、よりハイクラスな位置づけの「ダナ・キャラン コレクション」ラインとは異なり、より幅広い層に向けた、都会的でトレンドを取り入れたコレクションを展開しています。アパレル製品をはじめ、ハンドバッグ、靴、アクセサリー、香水など、多岐にわたるアイテムラインナップを持ち、現代人の多様なライフシーンに対応するブランドとしての地位を確立しています。

DKNYの事業体であるダナ・キャラン・インターナショナルは、設立以来その経営体制に変遷がありました。長期間にわたり、世界最大のラグジュアリーコングロマリットの一つであるLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン傘下に属していました。LVMHグループは、クリスチャン・ディオール、ルイ・ヴィトン、シャネル（一部事業）など、数々の著名なファッションおよびラグジュアリーブランドを擁しており、その強力な影響力のもとでDKNYのグローバルな展開が推進されていました。しかし、グループ全体の戦略的な見直しの中で、LVMHはDKNY事業の売却を決定します。2016年7月25日、LVMHはDKNYを展開するダナ・キャラン・インターナショナルを、アメリカ合衆国に拠点を置くアパレル企業であるG-IIIアパレル・グループに売却することを正式に発表しました。この取引完了に伴い、DKNYはLVMHグループからG-IIIアパレル・グループの一員となり、新たな経営体制のもとでブランドのさらなる成長を目指すことになりました。G-IIIアパレル・グループは、自社ブランドのみならず、数多くのライセンスブランドを手掛けることで知られており、DKNYはその事業ポートフォリオにおける重要な柱の一つとなっています。

DKNYは、ニューヨークを発祥の地としながらも、早くからグローバル市場への展開を積極的に進めてきました。ブランドにとって初の海外店舗は、1997年にイギリスの首都、ロンドンにオープンしました。これは、ヨーロッパ市場への本格的な進出を告げる出来事でした。さらに、ブランドのアイデンティティであるニューヨークにおいては、その存在感を象徴する大規模な旗艦店を1999年に開設しました。この旗艦店は、マンハッタンのファッションの中心地の一つである7番街、具体的には550番地に位置し、ブランドの世界観を体験できる重要な拠点となっています。

国際的な店舗ネットワークは広がり続け、特に巨大市場である中華人民共和国には20を超える店舗を展開しています。これは、アジア地域におけるブランド人気の高まりを示しています。北米においては、カナダにも2つの店舗を設けており、アメリカ以外の主要都市でもDKNYのコレクションを提供しています。また、中東地域の経済の中心地であり、国際的なラグジュアリーブランドが集まるアラブ首長国連邦のドバイにも店舗を構えています。これらの店舗は、DKNYの都市的で洗練されたファッションスタイルを世界中の顧客に届けるための重要な役割を果たしています。多様な地域での店舗展開は、DKNYがニューヨークという特定の都市の枠を超え、真にグローバルなライフスタイルブランドとして認識されていることを物語っています。

ダナ・キャラン氏によって設立され、所有権の変遷を経ながらも、DKNYは都市生活者のためのモダンなファッションを提供し続けています。そのコレクションは、常に時代の流れを捉え、機能性とデザイン性を両立させることで、世界中のファッショニスタから支持を集めています。G-IIIアパレル・グループのもとで、DKNYが今後どのように進化していくか、注目が集まっています。

もう一度検索