DONET2

DONET2（地震・津波観測監視システム）について

DONET2（Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis 2）は、海洋研究開発機構（JAMSTEC）が構築し、防災科学技術研究所（NIED）が運用管理する、南海トラフ地震観測のための海底ネットワークシステムです。紀伊水道に展開されており、2015年度から本格運用を開始しました。東南海地震の想定震源域には、先行してDONETが2011年から稼働しています。

概要

DONET2は、潮岬沖から室戸岬沖にかけての海域に、高密度かつ高精度の観測機器を設置し、地震や津波をリアルタイムで観測します。観測データは、専用回線を通じてJAMSTEC、NIED、気象庁に配信され、防災対策に活用されます。

システムは、陸上局と海底に敷設されたケーブル、地震計や水圧計などの観測装置から構成されています。基幹ケーブルは総延長約350kmに及び、ループ状に敷設されています。観測点は、7箇所の拡張用分岐装置に30箇所程度設置されています。

DONET2は、通信用海底ケーブル技術を活用した高信頼性のシステムで、両端に陸揚げされた基幹ケーブルが特徴です。海底での科学観測に必要な機能が集約されたノード、交換可能な最新鋭のセンサー群から構成される観測装置が用いられています。設置されるセンサーには、強震計、広帯域地震計、水晶水圧計、微差圧計、ハイドロフォン、精密温度計などがあり、地殻変動のようなゆっくりとした動きから、大きな地振動まで、あらゆるタイプの海底の動きを捉えることができます。水深1,500mよりも浅い海域では、底引き網から保護するために、観測機器は海底下1m程度に埋設されています。

目的

DONET2の主な目的は以下の通りです。

地震によって発生する震動や津波を、震源に近い場所でいち早く捉え、陸上観測点よりも10数秒早く検知し、迅速な警報発令による被害の最小化を目指します。
想定震源域で発生する微小な地震を、多点同時かつリアルタイムで観測し、地震発生メカニズムの解明に貢献します。

略歴

2006年：文部科学省の補助事業として、JAMSTECが「地震・津波観測監視システム開発」の研究開発を開始しました。
2011年：観測点、基幹ケーブルルート、陸上局の予定地が選定されました。
2015年度：運用が開始されました。
2016年4月1日：管理主体がJAMSTECからNIEDに移管されました。

類似の観測網

DONET：熊野灘沖に敷設され、東南海地震の想定震源域を観測しています。
N-net：日向灘（都井岬）から四国沖（室戸岬）を結ぶ海域で整備が進められている地震津波観測網です。
日本海溝海底地震津波観測網：東北地方太平洋沖地震をきっかけに整備されました。
その他、室戸岬沖、御前崎沖、釧路・十勝沖にも同様の観測網が存在します。

出典

防災科学技術研究所「海底地震津波観測網」
海洋研究開発機構「「地震・津波観測監視システム（DONET）」の本格運用開始について」
海洋研究開発機構「海底地震計システムの構成 (PDF)」

関連項目

地震観測網

外部リンク

海洋研究開発機構
地震・津波観測監視システム DONET2
防災科学技術研究所
海底地震津波観測網

もう一度検索