DRAIN AWAY

DIR EN GREY|DIR_EN_GREYの14枚目のシングルとして2003年にリリースされた「DRAIN AWAY」は、彼らの音楽性の幅広さと実験精神を象徴する作品です。2002年の冬に行われたライブツアー「列島激震行脚2002 5 Ugly KINGDOM」で既に先行披露されており、リリース前からファンの間では話題となっていました。

この楽曲の特徴の一つとして、ボーカルのクレジットが「アントニー佐々木ポッタリー」というユニークな名義になっている点が挙げられます。これは、DIR EN GREY|DIR_EN_GREYの遊び心と、既成概念にとらわれない姿勢を示すものと言えるでしょう。

また、歌詞カードにも仕掛けが施されており、表面には楽曲とは無関係なエログロな歌詞が掲載されています。しかし、その部分を剥がすと、本来の歌詞が現れるというギミックが用いられています。このような趣向を凝らした演出は、CDというパッケージメディアならではの楽しみ方を提供するとともに、DIR EN GREY|DIR_EN_GREYの作品に対するこだわりを感じさせます。

カップリングには、薫によるリミックスが2曲収録されています。「DRAIN AWAY -NEO TOKYO TRANS-」は、オリジナルの打ち込みパートをループさせ、新たな要素を加えて再構築した作品です。原曲の雰囲気を残しつつも、よりダンサブルでトランス色の強いサウンドに仕上がっています。一方、「逆上堪能ケロイドミルク (plucking:Mr.NEWSMAN) -NEW JAP MIX-」は、アルバム『鬼葬』収録曲である「逆上堪能ケロイドミルク」に、ミニアルバム『six Ugly』収録の「Mr.NEWSMAN」のフレーズをマッシュアップしたような構成となっています。異なる楽曲同士を組み合わせることで、新たな魅力を引き出す試みと言えるでしょう。

さらに、Masahide Takumaによる「JESSICA -wave mix-」も収録されています。こちらは、打ち込みによるボサノヴァを主体としたリミックスで、原曲とは大きく異なる、リラックスした雰囲気が特徴です。DIR EN GREY|DIR_EN_GREYの楽曲をボサノヴァにアレンジするという意外性が、新鮮な印象を与えます。

「DRAIN AWAY」は、アルバム『VULGAR』にも収録されていますが、その際には再録とミックスが新たに行われています。シングルバージョンとは異なるアレンジが施されており、聴き比べることで、楽曲の新たな魅力を発見することができます。

このように、「DRAIN AWAY」は、DIR EN GREY|DIR_EN_GREYの実験精神と音楽性の幅広さが凝縮された作品と言えるでしょう。シングルとしての完成度はもちろんのこと、カップリングのリミックスや歌詞カードの仕掛けなど、様々な要素が組み合わさることで、より奥深い魅力を放っています。DIR EN GREY|DIR_EN_GREYのファンはもちろん、幅広い音楽ファンにおすすめできる一枚です。

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