Darwin Information Typing Architecture

DITA（Darwin Information Typing Architecture）とは

DITA（Darwin Information Typing Architecture）は、技術情報を効率的に作成、発行、配布するためのXMLベースのアーキテクチャです。IBMによって開発され、その後OASISに寄贈され、2015年にはOASIS標準としてバージョン1.3が公開されています。

DITAの特徴

トピック指向の構造: 情報は、自己完結型の「トピック」と呼ばれる単位で管理されます。これにより、コンテンツの再利用性が向上し、効率的な文書作成が可能になります。
特殊化によるカスタマイズ: DITAの基本要素を「特殊化」することで、組織のニーズに合わせた情報アーキテクチャを構築できます。特殊化された要素は、継承元の基本要素として解釈できるため、柔軟な運用が可能です。
再利用性の高さ: トピックは、他の文書やコンテンツで参照して再利用できます。これにより、同じ情報を何度も作成する必要がなくなり、効率的なコンテンツ管理が実現します。
メタデータの活用: 拡張メタデータを活用することで、トピックの検索性が向上し、必要な情報に素早くアクセスできます。
条件分岐テキスト: 読者、プラットフォーム、製品などの条件に基づいてテキストを切り替えることができます。これにより、複数のターゲットに対応したコンテンツを効率的に作成できます。
標準に基づいた出力: DITAは、PDF、HTML、オンラインヘルプなど、さまざまな形式で出力できます。

DITAの基本構成

DITAの基本要素は「トピック」と「マップ」です。

トピック

トピックは、再利用可能なコンテンツの最小単位です。各トピックは自己完結しており、一つのテーマについて記述します。トピックには、タイトル、メタデータ、本文などが含まれます。

DITAでは、標準で以下の4つの特殊化されたトピック型が提供されています。

概念(Concept): 定義や規則、ガイドラインなど、客観的な情報を記述します。
タスク(Task): 作業手順を説明する情報を記述します。順序立ててステップを記述します。
参照情報(Reference): コマンド構文やプログラム命令など、参照素材を記述します。
用語集(Glossary): 用語とその意味を記述します。

これらの特殊化されたトピック型をベースに、組織独自のトピック型を定義することも可能です。

マップ

マップは、トピックへの参照をまとめた文書です。マップによって、複数のトピックを組み合わせて一つの成果物として出力できます。マップを使用することで、トピックの順序や階層構造を定義できます。

DITAでは、特殊化されたマップとして「書籍マップ(BookMap)」が提供されています。書籍マップは、書籍の表紙、前付、後付など、書籍を構成する要素に対応しています。

特殊化と一般化

DITAの特殊化は、XMLのclass属性を用いて行われます。特殊化された要素は、継承元の要素として解釈できるため、定義外の環境でも処理が可能です。この処理を「一般化」といいます。

標準規格に準拠した出力生成

DITAは、XMLの標準規格に準拠しており、DITA Open Toolkitなどのツールを使用して、PDF、HTML、ヘルプなど、さまざまな形式で出力できます。

DITA Open Toolkit

DITA Open Toolkitは、DITAコンテンツをさまざまな形式に変換するためのオープンソースツールです。PDF、HTML、ヘルプ形式などへの変換をサポートしています。また、拡張機能を利用することで、独自の形式への変換も可能です。

DITAの普及促進

DITAは、文書作成プロセスの革新を伴うため、導入には一定の投資が必要です。そのため、DITAコンソーシアムジャパンなどの組織が、情報共有、導入支援、技術者育成などの活動を行っています。

まとめ

DITAは、技術文書の効率的な作成・管理・配信を支援する強力なアーキテクチャです。トピック指向のアプローチや特殊化機能により、コンテンツの再利用性、カスタマイズ性、柔軟性を高めることができます。DITAの導入は、ドキュメント作成プロセスを大きく改善し、組織全体の情報管理を効率化するでしょう。

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