Devils×Devil デビルズデビル -Kiryu in Paris

『Devils×Devil デビルズデビル -Kiryu in Paris』（デビルズデビル -キリュウ・イン・パリ）は、人気漫画『TOUGH』のスピンオフ作品として、猿渡哲也氏によって描かれた短編漫画です。2012年、『週刊ヤングジャンプ』に3話掲載され、後に『Devils×Devil 〜猿渡哲也短編集〜』に収録されました。

本作の主人公は、『TOUGH』で主人公・宮沢熹一の伯父として登場した宮沢鬼龍です。舞台は、未知のウイルス「H4Q1」によって荒廃した近未来のパリ。鬼龍は、この荒廃した街に突如として現れ、謎の生物「NHM（ノーヘアモンキー）」の群れと激しい戦いを繰り広げます。

NHMは、H4Q1ウイルスに感染した人間のうち、わずか0.00001%の確率で変異して生まれた怪物です。知性はなく、ただひたすらに食らうことに執着する、恐ろしい存在として描かれています。鬼龍は、ウイルスに感染しながらも、パリのルーヴル美術館へと向かいます。そこには、彼自身の過去と深く関わっている、ある目的があるようです。

鬼龍は、IQ200を誇る天才的な頭脳の持ち主であり、豊富な知識と格闘技の腕前を兼ね備えた人物です。「悪魔を超えた悪魔」と称されるほどの実力者ですが、意外な弱点も持ち合わせています。それは、絵を描くのが苦手だということ。この意外な一面も、本作では描かれています。

もう一人の重要な登場人物は、マリアという謎めいた少女です。彼女はルーヴル美術館に現れ、言葉を話すことができません。常にスケッチブックを持ち歩き、中には両親と思われる男女の写真が大切に保管されています。そして、マリアには、このウイルスが蔓延する世界において奇跡的な体質があります。彼女は、H4Q1ウイルスに感染していないのです。

鬼龍とマリア、そしてNHMという怪物。この三者の運命が複雑に絡み合い、物語はスリリングに展開していきます。ウイルスに荒廃したパリの街並み、鬼龍の知略と戦闘能力、そしてマリアの謎。これらの要素が見事に融合し、短編ながら読者の心を掴む、濃厚なストーリーが展開されています。

さらに、本作は単なるアクション漫画ではありません。鬼龍の過去、彼がパリと持つ特別な繋がり、そしてマリアの正体など、様々な謎が読者の想像力を掻き立てます。ウイルスによって荒廃した世界を舞台に、人間の知恵と強さ、そして謎めいた少女の秘密が交錯する、読み応えのある作品と言えるでしょう。

『Devils×Devil デビルズデビル -Kiryu in Paris』は、猿渡哲也氏の描く独特の世界観と、緊迫感あふれるストーリー展開、そして魅力的なキャラクターたちが織りなす、忘れられない短編漫画です。単なるスピンオフにとどまらず、独立した作品としても高い完成度を誇る、まさに必読の一作と言えるでしょう。

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