Digidesign

Digidesign（デジデザイン）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く、デジタルオーディオシステムの設計・製造会社です。1984年にピーター・ゴッチャーとエヴァン・ブルックスによって設立され、現在はAvid Technology, Inc.の傘下企業となっています。

創業と初期の歩み

カリフォルニア大学バークレー校で電気工学と理論計算機科学を学んでいたピーター・ゴッチャーとエヴァン・ブルックスは、在学中にドラムマシンの音源を収録したメモリーチップを「Digidrums」レーベルから発売したことをきっかけに事業をスタートさせました。

1984年に開発された初期のPro Toolsは「Sound Designer」と名付けられ、そのファイルフォーマットは「SDフォーマット」として、現在もDigital Performerなどで利用されています。当初、Sound Designerはエミュレーターサンプリングキーボード「E-MU」の音源編集を目的としていましたが、E-MU Systems社との交渉がうまくいかず、1987年に「Sound Tools」という名称のソフトウェアをEmulator IIIに搭載する提案は実現しませんでした。この出来事が、2人がDigidesign社を設立するきっかけとなりました。

1989年1月にNAMMで正式発表された「Sound Tools」は、当時としては画期的な製品でした。ハードディスク技術の制約から、ステレオオーディオファイルの編集に限定されていましたが、非破壊編集（non-destructive editing）という現在のハードディスクレコーディングの基本となる機能を備えていました。

Pro Toolsの進化

1991年に登場した第1世代のPro Toolsは、4トラックのオーディオ信号しか扱えませんでしたが、当時のアメリカでの販売価格が6,000ドルと高価なものでした。その後、シーケンサー機能の搭載やMIDIへの対応、44.1kHz/16bitのリニアPCMフォーマットでのトラック数増加など、機能拡張が進められました。1997年には、24bit/48トラックまで対応可能となり、レコーディングスタジオでのマルチトラックレコーダーとしての活用が始まり、現在のPro Toolsの地位を確立しました。

現在のDigidesign

現在のDigidesignは、Pro Toolsを中心としたデジタルオーディオワークステーションと関連機材を提供しており、プロからアマチュアまで幅広いユーザーに利用されています。M-Audioシリーズでは、他社製品も利用可能なオーディオインターフェースを提供するなど、ワークステーションの中核となる製品群との親和性が向上しています。また、PA用のデジタルコンソールシステムも開発するなど、多様な製品ラインナップを誇っています。

年表

1984年：Digidesign設立、Sound Designer発表
1989年：Sound Tools発表
1991年：第1世代Pro Tools発表
1997年：Pro Toolsが24bit/48トラックに対応

関連項目

Pro Tools
アビッド・テクノロジー
録音スタジオ
ミキシング・コンソール
デジタル・オーディオ・ワークステーション (DAW)

参考文献

隔月刊プロサウンド、2009年8月 / 第152号。
隔月刊プロサウンド、2009年2月 / 第149号。
隔月刊プロサウンド、2008年12月 / 第148号。
隔月刊プロサウンド、2005年2月 / 第125号。
隔月刊プロサウンド、2004年6月 / 第121号。
隔月刊プロサウンド、2003年12月 / 第118号。
隔月刊プロサウンド、2002年12月 / 第112号。
隔月刊プロサウンド、2002年4月 / 第108号。

外部リンク

Digidesign （英語）（日本語）
Digidesign User Conference （英語）
John Payne: "The Software Chronicles" about Evan Brooks, EQ Magazine, March 2006 （英語）
* The Studio Files website: Pro Tools users tech blog （英語）

Digidesignは、その革新的な技術と製品によって、デジタルオーディオの世界を大きく変革してきた企業であり、今後も業界をリードしていくことが期待されます。

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