Dilettante

ALI PROJECTの『Dilettante』は、2005年6月22日に徳間ジャパンコミュニケーションズから発売された8枚目のオリジナルアルバムです。タイトルにもなっている「Dilettante」とは、日本語で「好事家」を意味し、アルバム全体を貫くテーマとなっています。

アルバムのジャケットや歌詞カードでは、中華風の衣装をまとった宝野アリカの写真が印象的です。CDを外した際に見えるジャケット裏側にも花文字で「好事家」と記されており、細部にまでこだわりが感じられます。ALI PROJECTのファンは、自らを「好事家」と呼ぶこともあります。

収録されている楽曲は、宝野アリカが作詞、片倉三起也が作曲・編曲を手掛けています。多様な音楽的要素が散りばめられており、聴きごたえのある内容となっています。

以下に収録曲とその特徴を解説します。

愛と誠：ファンからの人気が高い楽曲。ライブでも頻繁に演奏されます。『勇侠青春謳』へと繋がる「大和ソング」三部作の一つ。
人生美味礼讃：弱肉強食や食への欲求をテーマにした楽曲。ガストロノミーやカニバリズムを想起させる表現が用いられています。2020年には同タイトルを冠したアルバムが制作されました。
肉体の悪魔：レイモン・ラディゲの同名小説をモチーフにした、官能的な歌詞と緩やかなメロディーが特徴的な楽曲です。
緋紅的牡丹：中国語の歌詞が用いられた楽曲。タイトルは「ヒボタン」を意味し、楽曲『蜻蛉』を流用しています。
ディレッタントの秘かな愉しみ：濃密なバラード曲です。
昭和恋々幻燈館：昭和のノスタルジーを感じさせる楽曲。久世光彦の『昭和幻燈館』からインスパイアされています。
密猟区：「天使」「エデン」「毒の林檎」といった言葉が用いられ、宗教的な雰囲気を醸し出す楽曲です。
北京LOVERS：サビは激しく、それ以外は穏やかな構成が特徴的な楽曲です。
鎮魂頌：終戦60年に対する鎮魂の歌。折口信夫の同名作品に触発された楽曲で、8月15日に捧げられています。
柔らかな肌：インストゥルメンタル楽曲です。

『Dilettante』は、好事家をテーマに、耽美でノスタルジックな世界観が展開されたアルバムです。ALI PROJECTの音楽性を深く理解するための重要な作品と言えるでしょう。

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