Distortion Love

Distortion Love [Beat Selection 1989〜1996]

『Distortion Love [Beat Selection 1989〜1996]』は、日本の著名なシンガーソングライター、沢田研二によるビート系のベストアルバムです。このアルバムは、1997年12月10日に東芝EMI/イーストワールドからリリースされました。そのタイトルは、彼の音楽キャリアの中でも特に注目すべき時期に焦点を当てており、特にファン層の間での受け入れられ方や評価について興味深いものです。

1996年は、沢田が音楽界にデビューしてから30年目にあたる特別な年でした。この節目の年には過去の音楽作品の再発や、特別な企画が展開され、アルバム『愛まで待てない』などがリリースされました。こうした活動の一環として、『Distortion Love』が企画され、副題で示された通り、沢田自身によるビート系楽曲が厳選されています。特にこの作品は、30周年企画の集大成として彼のソロデビューから1996年までの全シングルA面曲を収録した「Royal Straight Flush」シリーズと同時に発表されました。したがって、いわゆるベスト・アルバムではありますが、沢田のキャリアの中でも特にロック色が色濃い時期の楽曲が多いという特徴があります。

本アルバムに収録されている楽曲は、正直なところビジネス的に成功を収めたものではなく、どちらかというと熱心なファンの間でしか親しまれていないような作品が中心です。収録された中には、シングルのA面曲は含まれておらず、よりマニアックな選曲がされていることが伺えます。さらに、アルバムの副題に「1989〜1996」とあるにもかかわらず、実際には1996年に発表された楽曲は含まれていません。これにより、『Distortion Love』はあくまで特定のリスナーに向けた作品であるという印象が強いです。

また、アルバム内のビジュアルについても注目が集まります。インナーフォトには、特異なデザインやファッションが披露されており、随所に中性的なアンドロイドを連想させるような衣装が使われています。このイメージは、著名デザイナー早川タケジの手によるもので、音楽だけでなく視覚芸術においても独自性を持った作品であることを示しています。

『Distortion Love』は、1996年にリリースされたバラードを中心としたベストアルバム『AFTERMATH』の姉妹作品でもあり、沢田の音楽的な多様性を感じさせる一枚です。このアルバムを通じて、彼の音楽の進化や、特定の時代における音楽シーンへの影響を見つめ直すことができるでしょう。

収録曲一覧

• - 光線
• - Shangri-la
• - プライド
• - 噂のモニター
• - 憂鬱なパルス
• - 彼は眠れない
• - Come On!! Come On!!
• - BACK DOORから
• - DON'T SAY IT
• - IN BED
• - 君をいま抱かせてくれ
• - a.b.c....i love you
• - ジェラシーが濡れてゆく
• - KI・MA・GU・RE
• - a long good-bye

このアルバムは、新旧のファンを問わず沢田研二の音楽の魅力を再発見するきっかけとなることでしょう。

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