Do it! Now

モーニング娘。15thシングル「Do it! Now」：後藤真希卒業シングル、そして新たな歴史の始まり

2002年7月24日、モーニング娘。にとって15枚目のシングル「Do it! Now」が発売されました。この曲は、それまでのモーニング娘。の楽曲とは一線を画す、マイナー調のミディアムテンポナンバーです。打ち込みサウンドを基調とした楽曲は、当時としては斬新な試みと言えるでしょう。

このシングルには、いくつかの重要な要素が絡み合っています。まず、当時絶大な人気を誇っていたメンバー、後藤真希にとって、これがモーニング娘。在籍最後のシングルとなりました。彼女の卒業を惜しむファンにとって、この曲は特別な意味を持つものだったと言えるでしょう。

さらに、「Do it! Now」は、世界的に有名なエンターテイメント集団シルク・ドゥ・ソレイユの公演『キダム2002』のイメージソングとして起用されました。この起用は、モーニング娘。の知名度をさらに高めることに貢献したと言えるでしょう。

楽曲構成にも注目すべき点があります。安倍なつみと後藤真希がセンター・メインボーカルを務め、安倍なつみと高橋愛、後藤真希と紺野あさ美がそれぞれペアを組んで歌声を響かせます。後藤真希の卒業後は、6期メンバー加入までは加護亜依が、加入後は田中れいなが後藤真希のパートを担当することになります。また、間奏部分では、メンバー全員がマイクを逆手に持ち替え、1フレーズずつ担当するラップパートが挿入されており、楽曲に変化と活気を与えています。

ミュージックビデオも、モーニング娘。の歴史を凝縮したような内容となっています。これまでのシングルのジャケット写真が並べられた道をメンバーが歩くシーンや、過去の衣装や受賞トロフィーなどが映像として挿入されており、グループの歴史を振り返るような演出がなされています。ジャケットの裏面は、表ジャケットの後姿のデザインとなっており、表と裏で統一感を持たせています。

「Do it! Now」は、音楽的な特徴だけでなく、モーニング娘。の歴史においても重要な位置を占める楽曲です。この曲は、後藤真希の卒業という大きな転換期と、グループの新たなステージへの出発を象徴する作品となりました。後に、6期メンバー追加オーディションの課題曲として使用されたことからも、その重要性が窺えます。

また、作詞・作曲を手掛けたつんく♂自身も、ディナーショーやフジテレビ『ミュージックフェア』などでこの曲をセルフカバーしており、この楽曲への強い思い入れを感じさせます。2007年には、つんく♂のベストアルバム『つんく♂ベスト作品集(上)「シャ乱Q〜モーニング娘。」〜つんく♂芸能生活15周年記念アルバム〜』に収録され、付属のブックレットにはパート割りが記載されています。

文学研究者の石原千秋氏は、「Do it! Now」の歌詞について、ほとんどが「愛」「夢」といった決まり文句で構成されているものの、後半に唐突に登場する「原宿」という固有名詞によって、聴く少女たちに「これは自分のことを歌っている」と感じさせる効果を生み出している、と解説しています。

さらに、Mylinによるカバーバージョンも存在し、トリビュートアルバム『カバー・モーニング娘。ハロー!プロジェクト!』に収録されています。

「Do it! Now」は、後藤真希の卒業という節目を彩るだけでなく、モーニング娘。の音楽性、そしてグループの歴史そのものを象徴する、非常に重要な楽曲と言えるでしょう。

もう一度検索