Docomo STYLE series

docomo STYLE series：デザインと進化の軌跡

2008年11月、NTTドコモは携帯電話市場に新たなコンセプトシリーズ「docomo STYLE series」を発表しました。それまでの型番による分類（高機能型「90xi」、デザイン重視型「70xi」）を見直し、デザイン性を重視した携帯電話シリーズとして誕生しました。同時期には「docomo PRIME series」、「docomo SMART series」、「docomo PRO series」も発表されていますが、「STYLE」シリーズは、洗練されたデザインと豊富なカラーバリエーションを特徴としていました。

シリーズ誕生の背景

従来、「70xi」シリーズはデザイン重視でしたが、機能面も向上し「90xi」シリーズとの差が縮まっていました。このため、ドコモは型番による分類方法を廃止し、機能とデザインを明確に差別化したシリーズ展開へと舵を切りました。「PRIME」シリーズが高機能を重視したのに対し、「STYLE」シリーズはデザイン性を最優先。機能面では多少簡素化され、価格も抑えられていました。これにより、幅広いユーザー層へのアプローチが可能となりました。

市場における位置づけと販売戦略

「STYLE」シリーズは、他の主要4シリーズと同様に商品回転が速く、新商品が次々と投入されました。その一方で、販売期間も短く、在庫処分セールや特別契約販売の対象になることも少なくありませんでした。ドコモが推進したmovaからFOMAへの乗り換え促進キャンペーン「FOMAお取替サポート」では、割引対象機種として指定されることも多く、販売戦略において重要な役割を担っていました。また、販売終了後もカラーバリエーションを一新して販売再開されるモデルもあり、市場の動向に合わせて柔軟に対応していました。

スマートフォン時代の到来とシリーズ統合

2011年冬モデル以降、携帯電話市場でスマートフォンが主流になると、「PRIME」、「SMART」、「PRO」シリーズは廃止され、「STYLE」シリーズにiモード端末が統合されました。これにより、従来の高機能モデルや男性向けデザインのモデルも「STYLE」シリーズに統一され、ラインナップが大きく変化しました。同時に、NECカシオ製を除く端末はドコモminiUIMカードに対応となり、SIMカードの交換が必要となりました。2012年冬モデルでは、再びデザイン重視で機能を簡略化した機種が中心となり、全機種がドコモminiUIMカード対応となりました。

「ドコモ ケータイ」への名称変更とAndroid搭載モデル

2013年夏モデルからは、「docomo STYLE series」から「ドコモ ケータイ」へと名称が変更されました。2015年夏モデルからは、OSにAndroidを採用した端末も登場し、「spモードケータイ」として展開されました。従来のiモード端末は「iモードケータイ」と呼ばれ、両シリーズが並行して展開されるようになりました。

iモードケータイの終焉

2016年11月2日、ドコモはiモードケータイの出荷を同年中に終了すると発表しました。これは、スマートフォン市場の拡大と、iモードサービスの利用者減少を背景とした決定でした。「docomo STYLE series」は、時代の変化と共に進化と統合を繰り返しながら、携帯電話市場に大きな足跡を残しました。そのデザイン性と多様なモデル展開は、多くのユーザーに支持されたと言えるでしょう。

まとめ

「docomo STYLE series」は、デザインを重視した携帯電話シリーズとして、時代の流れの中で変化を遂げ、多くの機種を生み出しました。スマートフォン時代の到来によりシリーズ名やコンセプトは変更されたものの、そのデザイン性を重視する思想は、後継シリーズ「ドコモ ケータイ」にも受け継がれています。このシリーズの歴史は、携帯電話の進化と市場の変化を反映した、興味深いものです。

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