E-25 (戦車)

E-25: ドイツ軍が計画した幻の駆逐戦車

第二次世界大戦下、ドイツ軍は数々の革新的な戦車や兵器を開発しました。その中でもE-25は、計画段階で終わったものの、高い潜在能力を持つ駆逐戦車として注目を集めています。本稿では、E-25の開発背景、設計、そしてゲームへの登場まで、その全貌に迫ります。

Eシリーズ計画とE-25の誕生

E-25は、ドイツ軍が戦車生産の効率化と標準化を目指して進めた「Eシリーズ計画」の一環として開発されました。E-100、E-75、E-50、E-10など、複数の戦車計画がこの計画に含まれていました。共通の部品を使用することで生産性を向上させ、重量帯別の戦車標準化を図ろうという試みです。しかし、E-25を含むEシリーズのほとんどは、計画図面やモックアップの段階で終戦を迎え、実車として完成することはありませんでした。E-100は一部完成しましたが、量産体制には至っていません。E-25は、完成したモックアップが存在したものの、最終的には実戦投入には至りませんでした。

E-25の構造と特徴

E-25は、7.5cm Kw.k42 L/70対戦車砲を主砲として装備する駆逐戦車として設計されました。特徴的なのは、砲塔を持たない固定戦闘室構造です。これは、車体重量の軽減と生産性の向上を目的としていたと考えられます。上部に小型砲塔を追加して2cm機関砲を搭載する案も存在しました。

車体形状は、軽駆逐戦車ヘッツァーと、戦後のカノーネンヤークトパンツァーの中間的なデザインで、全方向に傾斜した装甲板を持つことで被弾率を低減する設計でした。航空機メーカーのアルグス社が開発に携わり、同社製のガソリンエンジンを搭載する予定でした。また、ドイツ戦車としては珍しい車体後部に配置された起動輪、流体式操行装置と遊星歯車式変速機による8段変速機構を備えていました。これにより、前進と後進の両方でスムーズな速度調整が可能でした。製造はアルケット社が予定していましたが、終戦によって生産は中止されました。

性能諸元（予定値）

ゲーム『World of Tanks』への登場

E-25は、オンラインゲーム『World of Tanks』にも登場しました。ドイツプレミアム駆逐戦車として販売され、高い人気を誇っていましたが、2015年1月15日をもって販売が終了しました。ゲーム内においても、その高い機動性と火力が評価されていました。

まとめ

E-25は、戦時中の技術革新と生産性向上への取り組みを象徴する存在でした。完成に至らなかったことは残念ですが、その設計思想や性能は、戦車開発の歴史において重要な一ページを刻んでいます。そして、ゲームを通じて、多くの人々にその存在を知らしめることにも成功しました。 Eシリーズ計画が抱えていた技術的課題や、戦況の悪化という歴史的背景も理解することで、E-25という戦車の存在意義をより深く理解できるでしょう。

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