E.164

ITU-T勧告E.164：国際電話番号計画の基礎

ITU-T勧告E.164は、国際的な公衆交換電話網における電話番号の体系を規定する重要な勧告です。この勧告は、国際電話をかける際の電話番号の表記方法や、番号の割り当て方法、そして電話網における番号の機能的な役割を詳細に定義しています。

電話番号の構造と表記

E.164で規定される電話番号は、「+」記号で始まる国際番号で表現されます。「+」記号を除いた部分は、国番号、ネットワーク識別子、そして加入者番号の3つの要素から構成されます。電話番号全体の桁数は、最大15桁に制限されています(1997年以前は12桁)。日本の場合、国際電話をかける際に「010」を、米国では「011」を最初にダイヤルする必要があるように、国によって国際電話識別番号は異なります。

E.164のカテゴリー

E.164は、国際電話網における電話番号の機能と構造を大きく3つのカテゴリーに分類しています。

1. 国別割り当て電話番号: 各国に割り当てられた国番号から始まる電話番号です。
2. 国際的サービス用電話番号: 国際的なサービスを提供するために使用される電話番号です。
3. 網識別用電話番号: 特定のネットワークを識別するために使用される電話番号です。

さらに、Annex AではE.164番号の構造と機能に関する追加情報、Annex Bでは地理的番号のISDN呼び出しに関する詳細な情報が提供されています。特定のE.164ベースのアプリケーションに関する使用方法は、別々の勧告で定義されています。

E.164関連勧告

E.164の枠組みをさらに詳細に説明する関連勧告として、E.164.1、E.164.2、E.164.3が存在します。

E.164.1: E.164国番号と関連識別符号の予約、割り当て、再利用に関する手順と基準を規定しています。効率的な番号資源の利用を目的として、評価基準と手順を提供しています。
E.164.2: 国際的な非営利実験のために、一時的にE.164の3桁の国番号「991」を割り当てるための基準と手順を規定しています。
* E.164.3: 国家連合に共有されたE.164国番号における資源の課題と改善のための原則、基準、手順を解説しています。これらの共有された国番号は、他のE.164ベースの国番号と共存します。

ENUMとE.164

E.164電話番号は、DNS（ドメインネームシステム）におけるENUM（Electronic Numbering）システムでも使用されます。例えば、「+1 555 42 42」という電話番号は、「2.4.2.4.5.5.5.1.e164.arpa」というホスト名に変換され、SIPなどのIP電話サービスのためのIPアドレスを調べるために使用されます。ENUMの代替方法としてDUNDi（ENUMのP2P実装）がありますが、これはまだIETFによって標準化されていません。

E.163からの移行

E.164は、以前の勧告であるE.163を置き換える形で1997年に改定されました。E.163は、公衆交換電話網の電話番号に関する勧告でしたが、E.164の改定1版に統合され、廃止されました。

まとめ

E.164は、国際的な電話網の相互運用性と効率的な番号資源の利用に不可欠な役割を果たす勧告です。その構造、関連勧告、ENUMとの連携など、E.164の理解は、現代の通信システムを理解する上で非常に重要です。

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