EMD 567系エンジン

EMD 567ディーゼルエンジン：アメリカ鉄道史を支えた力強い心臓部

EMD 567エンジンは、ゼネラルモーターズ・エレクトロモティヴ・ディビジョン（GM-EMD）社が製造した、大型ディーゼル機関車に搭載された名機です。1938年から1966年まで生産され、アメリカ鉄道の黄金時代を支えた重要な動力源として知られています。

567エンジンの概要と特徴

EMD 567エンジンは、それ以前のWinton 201-Aエンジンの後継として開発されました。後継の645エンジンが登場するまで、EMDディーゼル機関車の心臓部として活躍しました。

このエンジンの最大の特徴は、その強力な出力と信頼性の高さです。各気筒の排気量は567立方インチ（約9.3リットル）と大排気量で、ボア8.5インチ（約216mm）、ストローク10インチ（約254mm）というロングストローク設計が採用されています。V型45度バンク角のシリンダー配置と、2ストロークユニフロー掃気方式により、高い効率とスムーズな運転を実現しました。

シリンダー数は12気筒と16気筒の2種類が用意され、12気筒モデルでは総排気量111,530cc、16気筒モデルでは148,706ccに達します。その圧倒的なパワーは、重量級の機関車を軽々と牽引し、長距離輸送を可能にしました。

鉄道車両のみならず、船舶への搭載も

567エンジンの活躍の場は鉄道車両だけにとどまりませんでした。その高い信頼性と耐久性から、船舶用エンジンとしても広く採用されました。特に、アメリカ海軍のLST（Landing Ship, Tank）と呼ばれる戦車揚陸艦の主機関として多数搭載されたことは、その信頼性の高さを示すものです。

EMD 567エンジンを搭載した機関車

EMD 567エンジンは、数多くのEMD製ディーゼル機関車に搭載されました。特に有名な機種としては、以下のものが挙げられます。

Eシリーズ機関車（E3以降の機種）
Fシリーズ機関車（全機種）
SD7
SD9

これらの機関車は、アメリカ各地の鉄道で活躍し、貨物輸送や旅客輸送の近代化に大きく貢献しました。

まとめ：時代を築いた名機の足跡

EMD 567エンジンは、単なる動力源としてではなく、アメリカの産業発展、そして鉄道史に大きな足跡を残した重要な機械です。その力強さと信頼性、そして数多くの機関車への搭載実績は、今もなお語り継がれるべきものです。本稿では、その概要と特徴、搭載車両について紹介しました。関連するエンジンとしては、後継機種であるEMD 645エンジンや、他のEMD製ディーゼルエンジンであるEMD 710エンジン、EMD 265エンジンなどが挙げられます。これらのエンジンも、それぞれの時代において重要な役割を果たした、アメリカ鉄道史を彩る名機と言えるでしょう。

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