EMD Dash 2

Dash 2：ディーゼル機関車の進化形

1972年、GM-EMD社はディーゼル機関車の製造において画期的なコンセプト「Dash 2」を発表しました。これは、既存の645系エンジン搭載機関車をベースに、電気制御システムとメンテナンス性を大幅に向上させた改良型機関車の総称です。従来の機関車に「-2」を付加した形式名（例：SD40 → SD40-2）で識別されます。基本的なエンジン設計は踏襲しつつ、内部システムの革新的な変更により、効率性と保守性の飛躍的な向上を実現しました。

Dash 2の革新性

Dash 2の最大の改良点は、モジュラー式の電子制御装置の採用です。これは、DDA40Xで先行して試用された技術を応用したもので、部品の汎用化とモジュール単位での交換修理を可能にしました。これにより、メンテナンスにかかる時間と費用の大幅な削減、修理の容易化に繋がりました。 従来の複雑な配線や個別部品の交換に比べて、はるかに効率的な保守体制が確立されたのです。

外観上の変更点

Dash 2では、いくつかの外観上の変更も実施されました。具体的には、以下の点が挙げられます。

台車の改良: 筋交いダンパー付き台車への変更により、走行安定性と乗り心地の向上が図られました。4動軸車では対角線上に、6動軸車では中央の車軸上に2本の筋交いが配置されています。
冷却水確認窓: ロングフード（ボンネットの長い側）の運転室側にエンジン冷却水の確認窓が設置されました。これにより、エンジンの状態を容易に確認できるようになり、メンテナンスの効率化に貢献しました。
バッテリー箱の改良: 運転室前方のバッテリー箱のカバーは、従来の蝶番式からボルト留め式に変更されました。これにより、カバーの脱着が容易になり、メンテナンス作業が簡素化されました。
車種表示灯: 車両の種類を示す表示灯が、高い位置と低い位置の両方に設置されました。ただし、1985年以降は少数の例外を除いて低い位置の表示灯は撤去されました。
運転室屋根の延長: 運転室の屋根が後部方向に若干延長されました。これは、運転室内の居住性向上に寄与したと考えられます。

Dash 2のラインナップ

Dash 2のコンセプトは、様々な機関車形式に採用されました。既存の機関車についても、多くがDash 2仕様に改造されました。主な形式は以下の通りです。

GP38 → GP38-2、GP38-2W
GP39 → GP39-2
GP40 → GP40-2、GP40-2L(W)、GP40-2W
SD38 → SD38-2
SD40 → SD40-2、SD40-2W、SD40-2S、SD40T-2
* SD45 → SD45-2、SD45T-2

これらの形式は、北米の鉄道輸送において長年に渡り活躍し、鉄道輸送の効率化に大きく貢献しました。Dash 2は、単なる機関車の改良にとどまらず、ディーゼル機関車の設計思想に大きな影響を与えたと言えるでしょう。そのモジュラー設計とメンテナンス性の高さは、後のディーゼル機関車開発にも継承され、現代の鉄道技術の礎を築きました。

まとめ

Dash 2は、GM-EMD社が1972年に導入した電気式ディーゼル機関車製造コンセプトです。モジュラー式の電子制御装置の採用によるメンテナンス性の向上、外観上の細かな改良などにより、高い信頼性と効率性を誇る機関車として広く普及しました。 Dash 2は、北米の鉄道輸送史において重要な役割を果たし、後のディーゼル機関車設計にも大きな影響を与えた革新的な技術として、現在も高く評価されています。

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