Enlightenment

Enlightenment（エンライトメント、略称: E）は、X Window System用のウィンドウマネージャとして開発されました。当初はシンプルなウィンドウマネージャでしたが、バージョン20以降ではWaylandにも対応し、より幅広い環境で使用できるようになりました。特に、Bodhi LinuxやPentooといったLinuxディストリビューションでは、標準のウィンドウマネージャとして採用されています。

Enlightenmentの大きな特徴は、グラフィカルなシェル機能を提供している点です。これにより、GNOMEやKDE用に開発されたプログラムとの連携が可能になり、既存のデスクトップ環境のプログラムをシームレスに利用できます。また、Enlightenment Foundation Libraries (EFL) と組み合わせることで、単なるウィンドウマネージャを超え、完全なデスクトップ環境として機能します。

開発経緯

Enlightenmentの最初のバージョンは、Carsten Haitzler（別名Rasterman）によって1997年にリリースされました。初期のバージョンはシンプルなウィンドウマネージャでしたが、EFLの導入によって、より多機能なデスクトップ環境へと進化しました。

Bodhi Linuxは、Enlightenment 17 (E17) デスクトップを中心に構築されましたが、後にフォークされ、Mokshaデスクトップとして開発が継続されました。また、Elive Linuxディストリビューションも、2019年までE17のフォークを主要なデスクトップ環境として採用していました。

2023年8月現在の最新バージョンはE25です。開発は現在も活発に行われています。

E16

E17のリリースは、Enlightenmentマネージャの根本的な再設計を意味しました。その結果、コミュニティの一部は旧バージョンのE16のコードベースに留まり、独立した開発を継続しました。E16は2009年にバージョン1.0に到達し、現在も活発に開発されており、2023年時点での最新バージョンは1.0.29です。

世間の評価

E16は、カスタマイズ性が非常に高いことで知られています。ウィンドウごとの細かな設定が可能で、モニタサイズを遥かに超える仮想デスクトップをサポートしています。また、キーボードによる操作を重視した設計も特徴です。一方、レビューでは、当時のデスクトップ環境には不具合が多く、やや不安定な面があると指摘されました。また、GNOMEやKDEのウィンドウマネージャとして利用できるものの、互換性の問題も指摘されています。

E17のレビューでは、動作の速さやタッチスクリーンへの対応、デザイン性の高さが評価されました。一方で、ウィンドウのサイズ変更領域が小さいという不満の声もありました。また、このデスクトップ環境で採用されているターミナルエミュレータであるTerminologyも高く評価されました。作者は、個人的にデスクトップの左右クリックメニューを気に入っていたと述べています。

E18は、軽量でmacOSに似た外観を持つと評価されました。しかし、デスクトップの左クリックメニューと右クリックメニューについては、操作の習得に時間がかかると指摘されています。

Enlightenment全体としては、多数のキーボードショートカットが用意され、古いハードウェアでも動作するほど軽量で、待機時のCPUとRAMの使用量が少ないと評価されています。しかし、デスクトップの左右クリックメニューの扱いの複雑さも指摘されています。

リリースの歴史

Enlightenmentは、E16、E17、そして現在のE25まで、継続的に開発とリリースが行われています。各バージョンで機能やデザインが大幅に変更されており、開発コミュニティの活発さが伺えます。

関連項目

X Window Systemのウィンドウマネージャの比較
Terminology (ソフトウェア)

参考記事および出典

公式ウェブサイト
旧バージョンのe16の公式サイト
ソースコード(git))
オペレーティングシステムのディストリビューション状況
Linux's fork of E17'>Elive LinuxのE17フォーク
Enlightenmentデスクトップ
* Xデスクトップ環境とウィンドウマネージャ

もう一度検索