ESLint

ESLintとは

ESLintは、JavaScriptコードの静的解析を行うためのツールであり、コード内の潜在的な問題点を検出するために利用されます。2013年にNicholas C. Zakasによって開発され、ユーザーが設定をカスタマイズしたり、独自のルールを追加したりできる柔軟性を持っています。

ESLintは、コードの品質とコーディングスタイルに関する問題を検出し、JavaScriptの標準であるECMAScriptの構文だけでなく、将来の試験的な構文もサポートしています。さらに、プラグインやトランスパイラを使用することで、JSXやTypeScriptの解析も可能です。

歴史

ESLintが登場する以前にも、JSLintやJSHintといったコード解析ツールが存在していました。しかし、これらのツールでは、コードの品質やコーディングスタイルに関するルールを柔軟に追加・変更することができませんでした。そこでZakasは、JSHintに貢献する代わりに、2013年6月に新しいコード解析ツールとしてESLint（当初はJSCheckという名称でした）を開発することを決意しました。

ESLintは、実行時に動的にルールを変更したり追加したりできる点が、他のツールとの大きな違いでした。この柔軟性により、ESLintは多くの開発者に支持されるようになりました。

2016年4月には、ESLintはjQuery Foundationに加入し、同年中にjQuery FoundationがDojo Foundationと共にLinux Foundationの一部となり、JS Foundationのプロジェクトとして成立しました。そして2017年10月には、JS Foundationのメンターシッププログラムを卒業し、その地位を確立しました。

2019年3月現在、JS FoundationとNode.js Foundationの合併により、ESLintはOpenJS Foundationのプロジェクトの一部となっています。

採用事例

JetBrainsのWebStormコードエディターは、ESLintをネイティブにサポートしています。これにより、編集中のファイルに対してESLintが自動的に実行され、問題のあるコードの近くに警告が表示されるため、開発者はリアルタイムでコードの問題に気づき、修正することができます。

また、Vue.jsは、Vue.jsの構文を自動的に検証するためのESLintプラグインを2016年から提供しています。2018年からは、新しいVue.jsプロジェクトを作成する際のウィザードで、このプラグインの使用が推奨されるようになりました。

2018年10月には、Facebookが開発しているReactも、公式のESLintプラグインを公開しました。これにより、React開発者はESLintを使って、Reactコンポーネントのコードをより効率的に検証し、品質を向上させることができます。

現在の状況

2021年現在、ESLintは最も広く利用されているJavaScriptリンターの一つであり、週に14,000,000回以上ダウンロードされています。これは、ESLintがJavaScript開発コミュニティにおいて、品質向上とコーディングスタイルの統一に不可欠なツールとして広く認識されていることを示しています。

外部リンク

• - 公式ウェブサイト

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