ESRO 2B

ESRO-2Bは、欧州宇宙研究機構（ESRO）によって運用された、1968年打ち上げの天体物理学研究用衛星です。この衛星は「国際放射線調査衛星（Iris）」とも呼ばれ、X線および太陽エネルギー粒子線の掃天観測を主な目的としていました。

概要

ESRO-2Bは、重量89kgの円筒形宇宙機で、長さ85cm、直径76cmのサイズでした。この衛星はスピン安定型であり、最大40rpmで回転していました。打ち上げから約195日前の1968年12月、搭載されていた磁気テープ情報記録装置が機械的故障に見舞われました。この故障により、衛星からの重要情報送信が不可能となり、実質的に2つのX線観測実験を中断せざるを得なくなりました。

1968年5月17日、ESRO-2BはスカウトBロケットによって、極軌道に近い楕円軌道に投入されました。この衛星は、1971年5月8日に、地球を16,282周回した後、大気圏に再突入し、破壊されました。その運用期間は比較的短く、約3年でそのミッションを終えました。

搭載装置

ESRO-2Bには、高エネルギー宇宙線の検出、全流束太陽X線の測定、ヴァン・アレン帯陽子や宇宙線陽子の計測を目的とした7つの装置が搭載されていました。この衛星は、主に太陽観測のために設計されましたが、太陽以外のX線源からのX線測定も可能であったと考えられています。

搭載されていた主な観測装置は以下の通りです。

高エネルギー宇宙線検出器
全流束太陽X線測定器
ヴァン・アレン帯陽子計測器
宇宙線陽子計測器

これらの観測装置によって、ESRO-2Bは太陽活動や宇宙線に関する貴重なデータ収集に貢献しました。

注釈

ESRO-2Bのミッションは、搭載機器の故障によって早期に中断されましたが、その取得されたデータは、その後の宇宙物理学研究に重要な基礎資料を提供しました。特に太陽X線観測においては、当時の技術水準から見ても貴重なデータであったと考えられます。

参照

関連する資料や研究については、以下のリソースを参照してください。

欧州宇宙研究機構（ESRO）の公式記録
天体物理学に関する学術論文
* 宇宙科学史に関する書籍

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