EbXML Message Serviceとは？意味をやさしく解説

ebXML Message Service (ebMS)とは

ebXML Message Service（ebMS）は、企業間電子商取引（B2B）において、インターネットを介してメッセージを安全かつ確実に伝送するための仕様です。これはebXML（Electronic Business using eXtensible Markup Language）の仕様の一つとして、OASIS ebXML Messaging Services技術委員会によって策定されました。

ebMSの主要な特徴

1. SOAPベース: ebMSはSOAP（Simple Object Access Protocol）を基盤としており、Webサービスの標準的なメッセージングプロトコルを利用しています。これにより、既存のWebサービス技術との親和性が高く、導入や運用が容易になります。

2. 信頼性通信: ebMSの最大の特徴は、メッセージが確実に通信相手に届いたかどうかを保証する信頼性通信（reliable messaging）の仕組みです。受領通知、リトライ（再送）、重複除去といったメカニズムを組み合わせることで、メッセージの損失や重複を防止し、信頼性の高い通信を実現します。この信頼性通信の仕組みは、後のWebサービスにおける信頼性仕様WS-Reliabilityの基盤となりました。

3. プル型メッセージング: ebMSバージョン3.0では、新たにプル型メッセージングが導入されました。これは、クライアント・サーバー型の通信を可能にし、特に自社にサーバーを設置できない中小企業などにとって、ebMSの導入を容易にする効果があります。従来のプッシュ型メッセージングに加えて、必要に応じてメッセージを取得するプル型が加わったことで、より柔軟なシステム構成が可能になりました。

4. Webサービス仕様との整合性: ebMSバージョン3.0では、Webサービスの標準仕様との整合性が強化されています。これまでebMSが独自に定めていた機能の多くが、WS-*（Web Services）仕様群の組み合わせで実現されるようになり、より標準的な技術を利用したシステム構築が可能になりました。

ebMSのバージョン

- ebMSバージョン2.0: 2002年にOASIS標準として承認され、その後ISO（国際標準化機構）にも提出され、ISO/TS 15000-2として承認されました。このバージョンは、信頼性通信を確立するための基本的な機能を提供します。

- ebMSバージョン3.0: 2007年にOASIS標準となりました。プル型メッセージングの追加、Webサービス仕様との整合性強化が主な変更点です。

相互運用性テスト

ebMSは、異なるベンダーの製品間での相互運用性を確保するために、世界各地で相互運用性テストが実施されています。企業間の電子商取引においては、異なる組織間でメッセージを確実に交換する必要があるため、このようなテストは非常に重要です。実施されたテストは以下の通りです。

- 北米: Drummond Group Inc.による実施
- 日本: ECOM（電子商取引推進協議会）による実施
- アジア: ebXMLアジア委員会による実施
- 欧州: CEN、ISSS、eBESによる実施

これらのテストで用いられたebMSのバージョンは、いずれも2.0でした。

まとめ

ebMSは、企業間電子商取引におけるメッセージ伝送を安全かつ確実に行うための重要な技術です。SOAPをベースにした信頼性通信の仕組みや、プル型メッセージングの導入、Webサービス標準との連携強化により、現代の電子商取引環境に適応した仕様となっています。異なる組織間でのメッセージ交換を必要とする企業にとって、ebMSは有効なソリューションとなるでしょう。

外部リンク

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