Extended Window Manager Hints

拡張ウィンドウマネージャーヒント（EWMH）とは

拡張ウィンドウマネージャーヒント（Extended Window Manager Hints、EWMH）は、NetWMまたはNet WMとも呼ばれ、X Window Systemにおけるウィンドウマネージャーの標準規格です。これは、ウィンドウマネージャー、ユーティリティ、およびアプリケーション間の相互作用を定義し、デスクトップ環境全体のスムーズな動作を保証するために重要な役割を果たします。EWMHは、Inter-Client Communication Conventions Manual（ICCCM）の機能範囲を拡張し、より高度で複雑なデスクトップ環境の構築を可能にしています。

EWMHの主な目的

EWMHの主な目的は、異なるウィンドウマネージャー、ユーティリティ、アプリケーションが相互に円滑に連携できるようにすることです。具体的には、以下のような側面を規定しています。

ウィンドウの管理: ウィンドウの位置、サイズ、表示状態などの管理方法
デスクトップの管理: 複数の仮想デスクトップの切り替えや管理方法
タスクバーの連携: タスクバーへのウィンドウ情報の表示方法
アプリケーションの連携: アプリケーション間の通信や情報交換の方法

これにより、異なるアプリケーションが同じデスクトップ環境上で一貫した動作をすることが保証され、ユーザーはより快適な操作が可能になります。

EWMHに準拠したウィンドウマネージャー

EWMHに準拠したウィンドウマネージャーは数多く存在しますが、ここでは代表的なものをいくつか紹介します。なお、EWMHへの準拠状況はウィンドウマネージャーのバージョンによって異なるため、詳細は各ウィンドウマネージャーのドキュメントを参照してください。

FVWM: バージョン2.5.0の開発版以降でEWMHに準拠しています。
xfwm4: Xfce4デスクトップ環境に付属するウィンドウマネージャーで、バージョン4.2.0以降でEWMHをサポートしています。
Openbox: バージョン3.3.990以降でEWMHに準拠しています。

これらのウィンドウマネージャーはEWMHをサポートすることにより、他のEWMH準拠のアプリケーションやユーティリティとの連携がスムーズになり、より高度なデスクトップ環境を実現できます。

EWMHの重要性

EWMHは、現代のデスクトップ環境において非常に重要な役割を果たしています。これにより、ウィンドウマネージャー、アプリケーション、ユーティリティが相互に情報を交換し、ユーザーはシームレスなデスクトップ体験を享受できます。EWMHがなければ、異なるアプリケーションやウィンドウマネージャー間の連携が難しくなり、デスクトップ環境全体が不安定になったり、操作性が低下したりする可能性があります。

まとめ

拡張ウィンドウマネージャーヒント（EWMH）は、X Window Systemにおけるウィンドウマネージャー間の連携を規定する重要な標準規格であり、現代のデスクトップ環境において不可欠な要素です。EWMHに準拠することで、異なるアプリケーションやウィンドウマネージャーがスムーズに連携し、ユーザーは一貫した操作感を得ることができます。EWMHは、より快適で使いやすいデスクトップ環境の実現に貢献していると言えるでしょう。

参考資料

Extended Window Manager Hints - freedesktop.orgによる最新仕様
Extended Window Manager Hints Support For FVWM
Extended Window Manager Hints version1.5 日本語訳

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