Fターム

Fターム（エフターム）とは

Fタームは、日本の特許文献を技術的な特徴に基づいて分類する体系であり、日本国特許庁によって運営されています。この分類システムは、特許文献の先行技術調査を行う際に欠かせない資料となっており、特許情報を効率的に検索するために利用されます。

Fタームの概要

Fタームは、1987年に導入され、従来の国際特許分類やFI（特許分類）とともに使用されています。特に、Fタームは特定の技術観点から特許文献を分類しており、従来の分類法とは異なる視点を提供します。また、その名称は「File Forming Term」に由来しますが、実際にはこの言葉はあまり使われていません。

構造と分類方式

従来の特許分類である国際特許分類やFIは、生物の分類に似た階層構造を持っています。たとえば、生物の分類では、動物界や植物界といった「界」に分けられ、さらに繊細なカテゴリに分けられます。対照的に、Fタームでは「空を飛ぶ生物」や「深海の生物」といった観点から特許をグルーピングします。これにより、国際特許分類やFIと共存しながらも、異なる視点での分類が可能となっています。

特許庁は約20万項目のFIを約2,600にまとめ、各テーマに5桁のコードを割り振っています。たとえば、「釣竿」のテーマはコード2B019で識別され、このテーマに関連する特許文献はそのコードを使って探すことができます。

Fタームは約1,900のテーマに基づいてさらに分類され、特定の発明に関連するFタームが記載されている日本の公開特許公報で利用されています。Fタームの例として、AA00から始まるコードが「構造」に関する情報を示し、その詳細（断面形状など）も示されています。このように、Fタームを用いて特許文献を探す際には、テーマコードと特定のFタームを組み合わせて検索することが求められます。

Fタームを用いた検索の注意点

Fタームを利用した特許文献の検索を行う際には、いくつかのポイントに留意する必要があります。特に適切なFタームが付与されていない文献があるため、失敗してしまうこともあります。また、Fタームは特許文献に数十個付与されることもありますが、国際特許分類やFIが1つから数個であるのに対して、Fタームでは誤付与が多い傾向があります。これには特許庁が委託する外部の解析者が影響している可能性もあり、注意が必要です。

加えて、Fタームが有効なのは日本国特許庁によって発行された文献に限られます。したがって、海外の特許文献を調査する場合には、他の分類システムを使用する必要があります。たとえば、米国の特許文献を調べる際にはUSPCや国際特許分類を用い、欧州の特許ではECLAや国際特許分類を参照する必要があります。

Fタームの歴史と発展

日本での特許文献の検索手段は、明治時代から始まり、当初は紙の文献を手動で読むことに依存していました。しかし、出願件数の増加とともに、紙文献の管理が困難になり、より効率的な検索手段へと移行が進められるようになりました。これを受けて1983年、特許庁はコンピュータを活用した検索システムの開発を開始しました。

Fタームの開発は1985年から進められ、1987年には最初のタイムリストが作成されました。その後、約2,600テーマのうち約70％、すなわち1,900テーマにおいてFタームリストが整備され、随時更新されています。最初はFタームは印刷された特許文献に表示されていませんでしたが、1999年からは公開特許公報の表紙にFタームが載せられるようになりました。

最近の動向

近年では、Fタームリストの英訳も提供されるようになっており、国際的な特許検索への利用促進が図られています。これにより、特許情報の取得や利用方法がますます便利になっています。特許文献の調査・分析において、Fタームは重要な役割を果たしていることに間違いありません。

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