F-107 (航空機)

F-107Aの概要

F-107Aは、アメリカのノースアメリカン社が開発したジェット戦闘爆撃機で、F-100戦闘機の発展型として位置づけられます。この機体は卓越した性能を持つことを目指して設計されましたが、試作機の段階で競争に敗れ、正式には採用されませんでした。

設計と開発

F-107の開発は、既存のF-100に対してより強力なエンジンを搭載することを目的として始まりました。初期の名称はF-100Bでしたが、後にF-107Aという名称が与えられました。1953年10月20日にはアメリカ空軍から3機の試作機発注がありましたが、翌年には追加で6機の発注も行われました。

初期の設計段階では、機首に新たにレーダーを搭載するためにエンジンのインテイクを移動させる必要がありました。そこでノースアメリカン社は、機体下部にインテイクを配置するNA-211と機体上部に配置するNA-212という2つの案を検討し、最終的にNA-212案が採用されました。このデザインにおいて、エンジンには可変断面積ダクトが使用されており、エンジンの出力によって作動する仕組みとなっています。この技術は後に他の機体に応用されることになります。

F-107Aの設計には、エリアルールの採用や、垂直尾翼の大型化、全遊動化といった重要な改良も行われ、ロール制御にはスポイラーが採用されました。操作する上での利便性も考慮され、ピッチとヨーのダンパーが追加されました。

テスト用のインテイクが機体のトップに配置されているのは、核爆弾を胴体下部に搭載する際に、インテイクが発生する衝撃波が投下に及ぼす影響を避けるためでした。しかし、この設計がパイロットの視界や脱出時に影響を与える結果になっても、戦闘爆撃機としての運用に支障がないとされ、この問題は大きく問題視されることはありませんでした。

名称について

F-107の形式名は「F-107A」のみですが、書籍などでは「YF-107A」と記載されることもあります。また、F-86セイバーやF-100スーパーセイバーとの関連から、非公式では「ウルトラセイバー」と呼ばれることもあるようです。

運用

F-107Aの最初の試作機は1956年9月10日に初飛行を行い、この際にマッハ1.03という速度を記録しました。しかし、比較試験の結果、F-105の方が優れていると評価され、F-107Aは正式な運用には至りませんでした。試作された3機はその後空軍からNACAに移管され、さまざまな試験で使用されました。これにより、F-107Aはマッハ2を超える優れた高速性能を示しました。ただし、3号機は1959年に離陸失敗によって大破し、その後爆撃標的として使用されました。

現在、F-107Aの試作機のうち2機が保存されています。2号機はオハイオ州デイトンの国立アメリカ空軍博物館に、1号機はアリゾナ州ツーソンのピマ航空宇宙博物館で見ることができます。

要目

• - 全長：18.84m
• - 全幅：11.15m
• - 全高：5.99m
• - エンジン：P&W YJ75-P-9（推力A/B時 11.1t）1基
• - 最大速度：2,048km/h
• - 武装：20mm機関銃4門、爆弾など4.5t
• - 乗員：1名

このようにF-107Aは、その設計や開発の過程において注目を集めつつも、正式な運用には至らなかった戦闘爆撃機として、航空機事業の中で貴重な立ち位置を持っています。

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