F3 (エンジン)

F3ターボファンエンジン

F3とは、1975年から日本の防衛省技術研究本部によって開発された航空機用ターボファンエンジンのことを指します。このエンジンは、石川島播磨重工業（現IHI）との共同作業により製造されました。特に、F3-30型エンジンは航空自衛隊のT-4中等練習機に採用されており、精密な飛行能力を支えています。

開発の背景

F3エンジンの開発は、1968年に終了したJ3エンジンの試験と改良の後、日本国内では小型ジェットエンジンの技術維持に向けての研究が進められていました。特に、ターボジェットエンジンからターボファンエンジンへの移行が求められる中で、「運動性を要求される小型亜音速機用エンジン」の基礎技術資料の取得に向け、F3エンジンの研究が開始されました。

開発の流れ

F3エンジンの開発は、以下のような段階を経て進められました。

1. 1975年 - XF3-1の試作が開始。
2. 1976年 - XF3-1の試験が始まる。
3. 1977年 - XF3-20の試作が開始される。
4. 1978年 - XF3-1の試験を終了し、XF3-20の試験を開始。
5. 1980年 - XF3-30の試作がスタート。
6. 1981年 - XF3-30の試験が始まる。
7. 1982年 - XF3-30がXT-4のエンジンに選定される。
8. 1984年 - XF3-30のPFRT（飛行前定格試験）を終了。
9. 1986年 - XF3-30がQT（認定試験）を終了し、後に量産に向けた指名が行われる。
10. 1987年 - T-4用エンジン2台が初めて納入される。

このようにF3エンジンの開発は、試作から量産に至るまでの多くの試験と改良を経て行われました。

各型解析

F3エンジンにはいくつかのバリエーションが存在します。

• - XF3-1: 基礎技術を得るために試作された初期モデル。ファンは1段、圧縮機は5段、最大推力は1,200 kg。
• - XF3-20: XF3-1を基に小型化・高出力化を図ったモデル。ファンを2段にしバイパス比を減少。最大推力は1,600 kg。
• - F3-30: XT-4向けに開発された実用エンジンで、量産モデルとなりXF3-30Bにも進化。
• - IHI-17: 超音速戦闘機用の技術を採用したアフターバーナー付きターボファンエンジン。
• - XF3-400: アフターバーナー付きターボファンエンジンで性能が向上。

仕様

F3-IHI-30のハードウェア仕様は以下の通りです。

• - 長さ: 2,020 mm
• - 外径: 560 mm
• - 重量: 340 kg
• - 最大推力: 16.37 kN (1,670 kg)

XF3-400の特徴としては、タービン入り口温度や推力が大幅に向上しており、アフターバーナー使用時には3,400 kgに達するといった高性能を持っています。

結論

F3ターボファンエンジンの開発は、日本の航空機技術の進化において重要な役割を果たしており、航空自衛隊の運用に欠かせない存在です。ターボファンエンジンの技術革新により、日本の防衛能力が一層強化され続けています。

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