F3H (航空機)

F3H デーモンについて

F3H デーモン（正式名称はMcDonnell F3H Demon）は、アメリカ海軍の艦上ジェット戦闘機として1950年代から1960年代にかけて活躍した機体です。開発はマクダネル社によって行われ、初期には「醜いアヒルの子」とも呼ばれましたが、小型で精悍なシルエットが特徴です。愛称の「デーモン」は悪魔を意味し、1962年には名前がF-3 デーモンに改称されました。

設計と特徴

F3Hは単発のジェットエンジンを搭載しており、主翼は低翼配置の後退翼を採用していました。このデザインは、主翼後縁の後退角が前縁に比べて小さく、アスペクト比も低いため、クリップトデルタ翼の先駆けとして位置づけられています。また、機体前部のコックピット脇にはエアインテイークが配置されており、航空母艦の限られた搭載スペースに対応するため、主翼外側は上方に折りたたむことが可能です。尾翼は排気口の後ろのブーム上に設置されています。

F3Hは武装として、20mm機関砲、およびレーダー誘導空対空ミサイルであるスパローを運用可能でした。この機体は、当初は事故が相次ぎ悪評もありましたが、それらの多くは搭載していたJ40エンジンの不具合によるものでした。J71エンジンに換装後は安定した性能を発揮し、その技術的経験は後のF-4 ファントムIIに受け継がれました。

開発の経緯

アメリカ海軍は、艦上ジェット戦闘機の開発を進めており、1948年に新型高性能ジェットエンジンを使用した艦上防空戦闘機の提案を行いました。この要件に応じたのがマクダネル社で、1949年から開発が始まりました。朝鮮戦争勃発後、機体には全天候能力や対地支援能力が追加されました。しかし、XJ40ジェットエンジンの開発が難航したため、試作機XF3H-1の初飛行は1951年に行われました。

量産型のF3H-1Nは1951年に発注され、1953年に初飛行を迎えました。初期の機体はJ40エンジンを搭載していたものの、その推力が不足していたために事故が頻発しました。結果として、59号機以降はJ71エンジンに変更され、名称もF3H-2Nに改められました。

この改良型は1956年より部隊配備が始まり、1957年には実戦での航海にも出航しました。最終型はF3H-2であり、1959年までに238機が生産されています。最後の部隊であったVF-161は1964年にF3Hの運用を終えました。

諸元と型式

F3Hの諸元として、全長は17.98メートル、全幅は10.76メートル、全高は4.44メートル、最大速度は海面高度で1,152 km/hです。搭載武器にはコルト Mk12 20mm機関砲が4門、空対空ミサイルとしてスパローまたはサイドワインダーが4発搭載可能です。

各型の中には初期の試作機XF3H-1や、偵察機型のF3H-1P、量産型のF3H-1N、そして最終量産型のF-3Bなどがあります。それぞれの型式が様々な役割を担い、F3Hはアメリカ海軍における重要な戦闘機としてその地位を確立しました。

まとめ

F3H デーモンは、高性能の艦上戦闘機として数々の歴史的局面を経験し、航空機の設計や運用において重要な影響を与えました。特にその後のF-4 ファントムIIの開発において、この機体の知見が生かされたことは、戦闘機の進化における重要なステップの一つと言えるでしょう。

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