F4D (航空機)

F4D スカイレイ（Douglas F4D Skyray）

F4D スカイレイは、アメリカ合衆国のダグラス社によって開発された艦上戦闘機で、1950年代にアメリカ海軍で使用されました。その愛称「スカイレイ」は「空のエイ」を意味し、1962年にはF-6 スカイレイという名称に変更されました。

概要

この戦闘機は無尾翼のデルタ翼を持つ設計が特徴で、丸みを帯びた主翼と三角形の空気取り入れ口を備えています。また、主翼に装備されたツイン20mm機関砲を含む計4門の武装と、サイドワインダー空対空ミサイルを2発装備することが可能でした。高速飛行能力が評価されたものの、全天候設計や航続距離に欠如があったため、約10年の運用期間で終了しました。

沿革

F4D スカイレイの開発は第二次世界大戦後の1947年頃から始まり、海軍からの依頼を受けたダグラス社がデルタ翼機の研究を開始しました。1947年の12月には海軍の要求に基づき、艦上迎撃戦闘機の設計契約が結ばれました。試作機であるXF4D-1はウェスティングハウス社のXJ40ターボジェットエンジンを搭載予定でしたが、開発の遅延からアリソン社のJ35エンジンに変更され、1951年1月に初飛行しました。

1952年4月にはF4D-1の量産契約が230機分結ばれ、試験機は1953年に世界の速度記録を2回樹立しましたが、エンジン信頼性の問題により開発は中止され、量産機にはP&W J57-P-2エンジンが搭載されました。このエンジンはノースアメリカンF-100スーパーセイバーと同系統であり、F4D-1はその後様々な改良が施されました。

1956年からは部隊配備が開始され、1964年まで使用されました。一時期は最大26隊の部隊に配備されましたが、核戦略から通常戦へと戦術がシフトしたため、F4Dは徐々に退役を迎えました。特にその余波として航続力や多用途性が求められる中、本機はその要求に応じきれず、1964年に第一線を退きました。ただし、1969年までNACAの試験機として使用され続けました。

F4D-2計画も存在し、これはエンジンをJ57-P-14に更新するものでしたが、後にキャンセルされました。1962年の米軍名称整理に伴い、F4D-1はF-6Aに改称されました。また、1958年以降は空中発射ロケット計画「パイロット」の母機としても利用されました。

各型

• - XF4D-1: 試作機、2機製造。
• - F4D-1: 量産型、420機製造（1962年にF-6Aに改称）
• - F4D-2: J57-P-14エンジンに換装された型、100機発注もキャンセルされる。
• - F4D-2N: レーダー強化型、名称はF5Dに変更。

諸元

• - 全長: 13.8 m
• - 全幅: 10.2 m
• - 全高: 3.96 m
• - 主翼面積: 52 m²
• - 空虚重量: 7,300 kg
• - 全備重量: 10,300 kg
• - 最大離陸重量: 12,300 kg
• - エンジン: プラット・アンド・ホイットニー J57-P-
• - 最大速度: 1,200 km/h
• - 航続距離: 1,900 km
• - 実用上昇限度: 17,000 m

現存する機体

現在、F4D スカイレイは歴史的な航空機として多くの博物館に所蔵されています。ミリタリーエアクラフトや関連書籍に収載された情報によれば、当機の開発と運用はアメリカ海軍の艦上戦闘機の進化に寄与した重要な一歩となりました。

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