F6D (航空機)

F6D艦上戦闘機計画の概要

F6Dは、アメリカ海軍が1950年代後半に計画した艦上戦闘機で、その愛称は「ミサイリアー」を意味します。これまでの航空機の設計から一新され、長距離の空対空ミサイルを多数搭載、長時間空中に留まることを目的としていました。実際に製造には至らず、計画のみに終わっていますが、その構想は当時の防空戦略において重要な位置を占めていました。

背景

第二次世界大戦後の航空戦術は大きく変わりました。特に誘導ミサイルの発展により、航空機に求められる能力も多様化しました。1950年代半ば、アメリカ海軍は艦隊防空に特化した戦闘機の必要性を感じ、長距離空対空ミサイルのみを搭載した機体を構想しました。それに伴い、格闘戦能力は無視され、超音速飛行の要件も設けられませんでした。1958年にはダグラス社に発注され、正式に設計が進められました。

計画のキャンセル

しかし、F6Dはその大型化と低速性から、実際の運用面での課題が多く浮上してきました。特に、航空母艦に搭載する際には、そのサイズが問題となり、同時に搭載できる機数が制限されることが判明しました。また、格闘戦能力を持たないため他の戦闘機による護衛が必要となり、これもさらに搭載数の減少を招く要因となりました。このような理由から、1960年12月に計画はキャンセルされました。

継承された要素

当初の計画が実現しなかったものの、そのコンセプトや設計上の要素は後の戦闘機開発に影響を与えました。特に、F-111BやF-14の開発にはF6Dの持つ大型レーダーや長距離空対空ミサイル搭載の考え方が引き継がれました。このように、F6Dの計画は失敗に終わったものの、その影響力は航空機開発の歴史において重要です。

機体の設計

F6Dの基礎はF3D機体にあり、エンジンは胴体の側面に取り付けられ、肩翼配置の直線翼を持っています。双発のエンジンにはP&W社のTF30ターボファンエンジンが使用され、アフターバーナーは装備されていませんでしたが、これにより長時間の滞空が可能であり、最大6時間の飛行が計画されていました。

搭載レーダーには、強力な捜索中追尾能力を持つウエスチングハウス製のAN/APQ-81が検討され、220km以上の探知範囲を誇りました。また、武装にはXAAM-N-10イーグル空対空ミサイルが予定され、185km以上の射程で同時に6目標を攻撃する能力がありました。さらに、これには核弾頭型の計画も存在していましたが、全てが中止に至りました。

計画概要

• - 乗員：3名（操縦手2名、武器操作員1名）
• - 全長：15.6m
• - 全幅：17.8m
• - 全高：5.7m
• - エンジン：P&W TF30 （推力 45.5KN、アフターバーナーなし）
• - 武装：AAM-N-10 イーグル空対空ミサイル 6発

F6Dは、多くの課題を抱えながらも、新たな戦闘機の可能性を提示した計画であり、航空機技術の進化に寄与した重要な存在でした。

もう一度検索