F7 (エンジン)

IHI F7 ターボファンエンジン

IHI F7は、P-1哨戒機用のターボファンエンジンであり、日本国内で開発されました。このプロジェクトは、国内において同クラスのエンジンが限られていたことを背景に手掛けられました。開発には総額200億円以上の費用がかけられ、燃費性能や低騒音といった特長が追求されました。

開発の背景

2001年より始まった大型機用エンジンの開発は、当初は高バイパス比エンジン技術の研究からスタートしました。この研究を通じて、ファンなどのデータ収集が行われ、さらなる技術向上が図られました。1998年から2001年にかけては、ターボファンエンジンの構成要素に関する研究が進行し、その成果から、新たな高バイパス比ファンの開発が行われました。2004年にはXF7-10の形式が正式に採用され、C-1FTBをテストベッドとした飛行試験が開始されました。

特に注目すべきは、2007年に実施された環境氷結試験や耐久試験で、エンジンの信頼性や耐久性を高めるための取り組みが行われました。飛行試験の中で発生したベアリングの損傷は、設計変更により改善され、安全性も確保されました。

特徴と性能

F7エンジンは、推力が約60kN（約6,120kg）で、一般的な旅客機用エンジンと同等の性能を誇ります。先行技術であるXF5-1からの知見が生かされ、エンジンコアは共通化されています。この結果、開発期間やコストのリスクが低減されました。

また、タービン入口温度を1,600℃から1,550℃に下げることにより、排出ガス中の有害物質を大幅に削減することに成功しています。具体的には、NOxの排出を54%、COを33%、UHCを0.5%、黒煙を74%抑えることができ、これもICAOの基準を満たしています。騒音については、従来型エンジンと比較しても5〜10dB低く抑えられており、アイドリング時には76dB、離陸時には70.6dBという数値を記録しています。

民間転用の可能性

さらに、2016年に防衛装備庁とIHIの間で、JAXA向けの民間転用契約が締結され、F7エンジンの実証用技術の開発が進められています。この事業は、エンジンの性能向上に寄与するだけでなく、新たな技術へのフィードバックを実現するものでもあります。このように、F7エンジンは防衛機能だけでなく、幅広い用途での活用が期待されています。

今後、2023年度以降にはさらなるエンジン開発が進む予定であり、最新技術が適用された新たなモデルが登場することが見込まれています。F7エンジンの旅は、さらなる性能向上と環境への配慮を追求する中で、新しい可能性を拓いていくことでしょう。

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