F7U (航空機)

F7Uカットラス（Chance Vought F7U Cutlass）

F7U カットラスは、アメリカのチャンス・ヴォート社が設計した艦上戦闘機で、特異な無尾翼形式を採用しています。この機体は1945年にアメリカ海軍が求めた高速艦上戦闘機案に基づいて開発され、1946年に正式に製造が進められました。カットラスという名称は、海刀の一種から由来しており、そのスタイルは当時の航空機設計において革新的である一方、多くの技術的な課題も抱えていました。

開発経緯

1945年、アメリカ海軍は各社に新しい高速艦上戦闘機の設計案を依頼しました。その結果、1946年7月にチャンス・ヴォート社の無尾翼形式のV-346案が選ばれ、開発がスタートしました。この機体はジェットエンジンを利用し、ドイツから輸入した先端的な航空技術を活用する形で、非常に高い高速性能を追求しました。機体はコンパクトな胴体に、主翼の中ほどに設けられた双垂直尾翼を持つ独自の構造をしています。

特徴と性能

F7Uカットラスは、機体前部に配置されたコックピットが特徴的で、視界を良くするために上方へ突き出しています。この設計は、固定武装として搭載されたAN-M3 20mm機関砲に加え、後期量産型（F7U-3）では32発のFFAR空対空ロケット弾を使用できる着脱式パックも装備されています。しかし、艦上戦闘機に無尾翼形式を採用することは、当時の技術水準では数多くの問題を引き起こしました。

無尾翼形式は主翼の後縁でフラップを追加することが難しいため、離着陸時に必要な揚力を確保するために大きな迎え角を取らなければならず、その結果コックピットからの視界は著しく悪化しました。このような設計の欠点は、航空母艦からの発艦や着艦時に特に問題を引き起こし、しばしば事故につながりました。さらには、長い前脚柱も、着艦時に大きな衝撃を受けることで頻繁に破損しました。

実戦配備と評価

試作機XF7U-1は1947年に初飛行しましたが、全ての機体が事故で失われ、おそらくこの段階での設計上の限界が明らかになりました。その後の量産型F7U-1はむやみに多くがテスト用に使用され、続いてF7U-3が1950年から生産に入ります。F7U-3は主翼の拡大やエンジンの改良が施されましたが、部隊への配備が始まるも、無尾翼形式の問題により離着艦時の事故が多発しました。このため、1957年には実戦部隊から退役します。

派生型

F7Uカットラスにはいくつかの派生型が存在します。例えば、試作型のXF7U-1は3機製造され、前期量産型のF7U-1は試験のみに使用されました。後期のF7U-3は152機製造され、武装も強化されました。また、F7U-3MやF7U-3Pといった特定目的に特化したバリエーションもありましたが、全体としては実戦配備時期が非常に短かったことが特徴として挙げられます。

まとめ

F7Uカットラスは、その革新的な設計と、当時の航空技術の最先端を体現した存在でしたが、実際には構造的な問題に直面し、短期間での運用にとどまった機体でもありました。航空ファンの間では、その未来的なデザインの印象が色濃く残っており、特異な歴史を持つ軍用機として語り継がれています。

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