FAMILY (スガシカオのアルバム)

『FAMILY』は、シンガーソングライターであるスガシカオが1998年 6月24日に発表した、自身にとって2枚目のオリジナルアルバムです。前作『Clover』から約1年ぶりのリリースとなり、当時の彼の音楽性が色濃く反映された作品となっています。このアルバムには、既発シングル曲のほか、新たな楽曲を含む全10曲が収録されており、当時の音楽シーンにおいて独自の存在感を放っていたスガシカオの多様な音楽的アプローチを垣間見ることができます。

収録曲

本アルバムに収められている楽曲は以下の通りです。

1. 日曜日の午後
2. ストーリー
3. 愛について
4. ひとりごと
5. たいくつ/ゆううつ
6. リンゴ・ジュース
7. Happy Birthday
8. このところちょっと
9. バクダン・ジュース（生タイプ）
10. お別れにむけて

楽曲に関する解説

収録曲の中には、既にシングルとして発表されていた楽曲や、後に別バージョンでリリースされた楽曲が含まれています。

「ストーリー」は、アルバム発売前に5枚目のシングルとしてリリースされた楽曲です。
「愛について」は、アルバムに先行して4枚目のシングルとして発表されました。この楽曲は、かつてNHK総合で放送されていた音楽番組『ポップジャム』のエンディングテーマとして使用されています。
「ひとりごと」は、後にリリースされる6枚目のシングル「ぼくたちの日々」に、アレンジが加えられたバージョンが収録されています。
「リンゴ・ジュース」と「Happy Birthday」は、フジテレビ系アニメ『ハチミツとクローバーII』の挿入歌として採用されました。「リンゴ・ジュース」は、SMAPに提供された楽曲「夜空ノムコウ」のカップリング曲として収録された同名の楽曲とは異なるものです。「Happy Birthday」は、杏子に提供した楽曲としても知られていますが、本アルバムに収録されているバージョンは、杏子が歌唱したものとは歌詞が一部異なっています。
* 「バクダン・ジュース（生タイプ）」は、シングル「愛について」にカップリング曲として収録されていたバージョンがそのまま収められています。

参加ミュージシャン

このアルバムの制作には、スガシカオ自身のほか、数多くのミュージシャンが参加しています。スガシカオは、自身でアコースティックギター、エレクトリックギター、ベースといった楽器の演奏も担当しています。サウンドプロデュースは中村文俊氏が共同で手掛けており、マニピュレーションも担当しています。キーボードアレンジメントや演奏、そしてブラスアレンジメントは森俊之氏が担当しました。

収録曲ごとに異なるミュージシャンが参加しており、例として、エレクトリックギターでは間宮工氏（「このところちょっと」「Happy Birthday」「バクダン・ジュース（生タイプ）」）、ベースでは坂本竜太氏（「バクダン・ジュース（生タイプ）」）や中村キタロー氏（「お別れにむけて」）、ドラムでは山木秀夫氏（「ストーリー」）やあらきゆうこ氏（「バクダン・ジュース（生タイプ）」）らが参加しています。また、あらきゆうこ氏は「愛について」でサンプリングソースとしてもクレジットされています。

ブラスセクションには、トランペットにエリック宮城氏（「リンゴ・ジュース」）と荒木敏男氏（「お別れにむけて」）、トロンボーンに中川英二郎氏（「リンゴ・ジュース」）と村田陽一氏（「お別れにむけて」）、テナーサックスに淵野茂夫氏（「リンゴ・ジュース」）と山本拓夫氏（「お別れにむけて」）、アルトサックスに竹野昌邦氏（「お別れにむけて」）といった面々が名を連ねています。さらに、「このところちょっと」では、大滝裕子氏やヘルスエンジェルズといった方々がファミリーコーラスとして参加し、アルバムに彩りを加えています。

『FAMILY』は、スガシカオの初期の楽曲群をまとめただけでなく、彼のソングライター、そしてミュージシャンとしての幅広さを示す作品と言えるでしょう。様々なジャンルの要素を取り入れつつ、日常の光景や感情を描写した歌詞は、この時期から彼の大きな特徴となっています。多くのミュージシャンの参加により、楽曲一つ一つに深みと個性的なサウンドが付与されています。アルバム全体を通して、当時のスガシカオが追求していた音楽の形を感じ取ることができます。

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