FAST ACCESS

accessのファーストアルバム『FAST ACCESS』は、1993年2月25日にファンハウスからリリースされました。この作品は20.4万枚のセールスを記録し、オリコン週間ランキングで最高位2位を獲得。accessにとって、シングル・アルバムを通じて初めてオリコンチャートのトップ10にランクインした、グループの歴史において重要な一枚となりました。

アルバム制作にあたり、プログラミング・キーボードの浅倉大介は特定のコンセプトに縛られず「一曲ずつ丁寧に作っていく」姿勢で臨みました。ボーカルの貴水博之は、互いのアイデアに興味を持ち、積極的に提案を出し合うことで楽曲を形にしていったと振り返っています。

アルバムタイトル『FAST ACCESS』には、様々な意味が込められています。文字通りの「速さ」だけでなく、accessが活動を開始してから多くのことがスピーディーに実現したこと、そしてこのアルバムを聴くことでaccessの持つスピード感を感じ取ってほしいという願い。さらに、「最初の」という意味を持つ「FIRST」の響きも意識されているとのことです。

本作はダンサブルな楽曲が中心を占めていますが、バラードでは4声のストリングスアレンジが施されるなど、ジャンル構成には多様性が凝らされています。一方で、歌詞の世界観やコンセプトはアルバム全体を通して統一することを重視して制作されました。

アルバム全体のコーラスは全て貴水が担当しています。浅倉は、貴水が難易度の高いメロディもその場ですぐに歌いこなせたことに驚いたと語っています。貴水自身も、コーラスワークを通して自身の声質が「本来はコーラスにも向いているのではないか」と新たな発見があったようです。

初回限定版にはオールカラーのブックレットが付属しました。また、2013年9月11日には、ソニー・ミュージックダイレクトより全曲リマスタリング、Blu-spec CD2仕様で再発売されています。

収録曲解説

本作には、accessならではのサウンドと貴水のボーカルが光る個性豊かな楽曲が収められています。

SENSUAL GLIDE: 貴水の「空を飛びたい」というキーワードが発端となり、浅倉がメロディを構築。貴水はそれに加えて「男性の恋愛観」も描写し、単なる願望に留まらない詞世界を創り上げました。
PALE BLUE RAIN: ピアノのみで作曲されたバラード。メロディラインにストーリー性を持たせ、ストリングスアレンジが加わることで温かみのある楽曲に仕上がっています。貴水は「雨の中での失恋が、次への希望につながる」というテーマを設定。仮テイクとしてギターを弾いた井上哲生の演奏が浅倉に気に入られ、そのまま採用されるというエピソードも。
JEWELRY ANGEL (DEEP AXS MIX): シングルバージョンに比べ、より深い世界観と迫力を追求したミックス。16ビートによる厚みのあるサウンドが特徴です。
DISTANCE〜求め合うには遠すぎて〜: 切ないミドルテンポのバラード。楽曲に含まれる4パターンのギターのうち、葛城哲哉による生演奏は1つのみで、残る3つはシンセサイザーによるものです。浅倉は打ち込みで「いかに生っぽく聴かせるか」に苦心しました。これは、歌詞を書く際に明確な雰囲気があった方がイメージを広げやすいという、作詞への配慮も兼ねていました。貴水は「雨」と「叶わぬ恋をする男性の切なさ」をテーマに詞を手がけました。
HOT CRUISING NIGHT (ORIGINAL AXS VERSION): 浅倉が1992年9月29日のソロコンサートのリハーサルに向かう車中で生まれた楽曲。貴水は歌詞に、かつて深夜ラジオをワクワクしながら聴いていた頃の気持ちを反映させました。ニッポン放送『伊集院光のOh!デカナイト』のオープニングテーマとして使用されたバージョンが先行して発表されており、本作には音色や歌詞が一部変更されたバージョンが収録されています。この楽曲は木村由姫によってカバーもされています。
CAN-DEE GRAFFITI: 浅倉が自身の青春時代を思い返しながら制作。貴水はキュートな雰囲気を目指し、楽曲中の浅倉の笑い声を入れる箇所や担当するセリフも自ら考案しました。
PERFECT TIMING: 「何が起こるか分からないが、何かが始まる予感がしている。カウントダウンが始まった」という心境を表現したインストゥルメンタル楽曲。次の「LOOK-A-HEAD」へとシームレスに繋がる構成です。
LOOK-A-HEAD: accessが掲げる「ファンとの双方向的な盛り上がり」というグループのテーマが込められた楽曲。浅倉は、本来オープニングにふさわしいエネルギッシュな曲でありながら、あえてアルバムの最後に配置したと述べています。貴水も、この曲が「ここからが始まり。続きはぜひライブに来て体験してほしい」というメッセージになっていると語っています。

参加ミュージシャン・スタッフ

本作には、浅倉大介（プログラミング、キーボード）のほか、大里正毅（プログラミング、エンジニア、プロデューサー）、葛城哲哉（ギター）、井上哲生（ギター、プロデューサー）らが参加し、サウンドを構築しています。

もう一度検索