FBIによるマー・ア・ラゴの捜索

FBIによるマー・ア・ラゴの捜索

2022年8月8日、米連邦捜査局（FBI）は、フロリダ州パームビーチにあるドナルド・トランプ前大統領の邸宅「マー・ア・ラゴ」に捜索令状を持ってアクセスし、厳重な機密文書を回収しました。今回の捜索では、トランプがホワイトハウスを退任後に持ち帰った文書に焦点が当てられ、特に情報漏洩対策がなされている資料が含まれていました。捜索当時、トランプ本人はニューヨークのトランプ・タワーに滞在していました。

背景

大統領記録法に基づき、大統領の記録は米国に帰属し、任期終了時に米国公文書館に引き渡す義務があります。無許可で機密情報を持ち出すことは、米国連邦法によって重罪に該当します。2018年にトランプが署名した法律は、これに対する罰則を5年の禁固および罰金に引き上げました。トランプの大統領任期は2021年1月に終了しました。

経緯

国立公文書記録管理局（NARA）は2021年5月、トランプが保持している紛失した大統領文書について問い合わせ、文書の回収を試みました。トランプ側は引き渡しを拒否していたため、NARAはマー・ア・ラゴを訪れ、15箱の文書を回収しました。これには「機密」や「極秘」と明記されたものが含まれ、特別アクセスプログラム（SAP）の関連資料もありました。

その後、FBIはトランプの側近に事情聴取を行い、司法省は国立公文書館の要請で犯罪捜査を開始。2022年6月、FBIはトランプの弁護士に対して機密文書の不適切な取り扱いについて調査を進めました。さらに、監視カメラのデータも召喚し、誰が文書にアクセスできたかを調査しました。

捜査令状の取得

FBIは、トランプが一部の機密文書を引き渡した一方、他の文書を隠している疑いがあるとして、連邦裁判所から捜索令状を取得する正当な理由を示しました。2022年8月5日、フロリダ州の連邦地方裁判所で捜索令状が承認されました。

捜索の実施

2022年8月8日、FBIの捜査官はマー・ア・ラゴに赴き、特別アクセスプログラムや核兵器の機密情報を中心に捜索を行いました。捜査中、トランプは遠隔でその様子を監視し、弁護士は立ち会っていましたが、内部に入ることはできませんでした。捜索の結果、26個の箱が押収され、その中に11セットの機密資料が含まれていました。

FBIは押収した資料の中に「トップシークレット」や「シークレット」といった高レベルの機密情報があったことを確認しました。押収された情報には、フランス大統領に関連する文書やトランプが盟友に恩赦を与えたことに関する資料も含まれており、捜索後に詳細な物件受取書が作成されました。

捜索の反応

トランプはこの捜索を公に非難し、政治的意図があるとの見解を示しました。また、彼の支持者の間では暴力的な反応も見られました。FBIの捜索に対して共和党からは多くの非難が上がり、司法省に対する監視を求める声も強まりました。逆に、民主党はこの事件に関する詳細なコメントを避ける姿勢を示しました。

結論

この事件は、アメリカの政治・法制度において重要な意味を持つ出来事となり、捜査が続く中で様々な視点からの反応が見られています。FBIの行動は、その必要性と正当性をめぐる議論を呼び起こし、今後の展開が注目されます。

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