FEELFLIP

FEELFLIP（ヒールフリップ）は、2004年に結成された日本のスカパンクバンドです。彼らは単なるスカパンクに留まらず、スカとカオティックな要素を融合させた独自の音楽ジャンル「スカオティック（Skhaotic）」を提唱し、そのサウンドでシーンに一石を投じました。所属レーベルはインペリアルレコード、所属事務所はインペリアルアーティストです。

バンドは、専門学校の音響コースで出会ったボーカル・ギターのTOMOYAと、リーダーを務める七弦ベースのIKKEを中心に活動を開始しました。結成のきっかけは、2004年夏に湘南をドライブしていた際に「スカパンクがやりたい」という思いが募ったことから生まれたユニークなエピソードに基づいています。同年10月26日には、横浜B.B.STREETで記念すべき初ライブを行いました。当初のバンド名は、スケートボードのトリックである「Heelflip」から名付けられる予定でしたが、ライブハウスへのエントリー時に誤って「FEELFLIP」と記入してしまい、そのままバンド名として定着したという逸話があります。インディーズ時代には、THE NINTH APOLLO主宰の渡辺旭氏にその才能を見出され、活動の幅を広げていきました。

メンバーは、力強いボーカルとギターを兼ねるTOMOYA、バンドの要であり、Ibanezのエンドースメント契約アーティストでもある七弦ベースのIKKE（多弦ベースを駆使したスラップやタッピングを含むテクニカルな演奏に加え、和田アキ子や加藤和樹といった他アーティストのレコーディングセッションにも参加しています）、そして低音域を豊かに響かせるサックス隊として、テナーサックスのPONとバリトンサックスのMOCKが在籍。このサックス隊も、和田アキ子やステファニーなどのセッションに参加した経験を持ちます。ドラムは、2017年2月に加入したSTEVEが担当しています。かつてドラムを務めていたTOSHIは、2017年2月19日のライブをもって脱退し、同日にSTEVEの加入が発表されました。

彼らが提唱する「スカオティック」サウンドは、個々の楽器の個性が激しくぶつかり合いながらも融合することで生まれます。重く歪んだリフと軽快なスカカッティングが交互に繰り出されるギター、重低音だけでなくスラップやタッピングといった多角的なアプローチでグルーヴを生み出す7弦ベース、低い音域からバンド全体を支えつつ響きを重ねるテナー・バリトンサックス、そして攻撃性剥き出しのパワフルなドラム。これら5つの要素が絡み合い、テクニカルなフレーズと、時にキャッチーに歌い上げ、時に咆哮するTOMOYAのボーカルが混ざり合うことで、唯一無二の混沌としたサウンドスケープを描き出していました。

ライブ活動も精力的に行っており、2012年にはUSELESS ID、2013年にはレス・ザン・ジェイクといった海外の著名スカパンクバンドのジャパンツアーにサポートアクトとして参加し、国内外のバンドとの共演経験を積みました。また、彼らの主催ライブも成功を収め、2014年には結成10周年記念ライブを恵比寿リキッドルームで開催。日本の主要音楽フェスティバルにも名を連ね、2015年には東京スカパラダイスオーケストラ主催のトーキョースカジャンボリー、2016年には10-FEET主催の京都大作戦といった大型フェスに出演し、多くのオーディエンスにそのサウンドを届けました。さらに、チケット予約者全員にTシャツをプレゼントするユニークなワンマンツアー「BARAMAKI」を行うなど、ファンを楽しませる企画も実施しました。2016年にはImperial Recordsへの移籍とメジャーデビューを発表し、メジャー1stミニアルバムをリリースするなど、活動の勢いを増していました。

メディア露出もあり、TBSテレビの音楽番組「ライブB♪」で演奏を披露したり、J-WAVEのラジオ番組にIKKEが出演したり、音楽誌「激ロック」「BASS MAGAZINE」やウェブメディア「rockin' on RO69」「Qetic」でインタビューが掲載されるなど、多方面でその存在感を示しました。

しかし、2019年1月4日、バンドは同年2月23日に横浜B.B.STREETで開催する自主企画ライブをもって、無期限の活動休止に入ることを発表しました。結成から約15年間の活動に一旦の区切りをつける形となりました。独自の「スカオティック」サウンドで日本のスカパンクシーンに確かな足跡を残したバンドです。

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