FIA 世界耐久選手権

FIA 世界耐久選手権（WEC）概要

FIA世界耐久選手権は、国際自動車連盟（FIA）によって認可され、フランスの西部自動車クラブ（ACO）が主催する耐久レースの世界選手権です。略称はWEC（ウェック）です。この選手権は2010年に始まり、過去には1981年から1985年の間に行われていたスポーツカー世界選手権の実質的な後継としても位置付けられています。

競技形式と開催地

WECでは、欧州、アメリカ、アジアなどの異なる地域で、春から秋までの期間に2から3レースが行われます。各シーズンは、通常の単年形式で開催されており、特に2018年から2019年にかけては「スーパーシーズン」として珍しいカレンダーが組まれましたが、パンデミックの影響で計画の見直しが行われました。現在の形式は、2021年より戻されており、安定したスケジュールで競技が行われています。

技術革新とクラス分け

WECの進化の中で特筆すべきは、各クラスの技術革新です。特に、ハイブリッド動力車に対する注目が集まり、LMP1カテゴリーでは、従来の内燃機関以上のエネルギー効率を実現したLMP1-Hが登場し、そこにPonまたはポルシェが参戦したことで競技は一気に活性化しました。しかし、開発コストの高騰や環境への配慮から次第にその状況は変わり、2021年以降は新しい「ル・マン・ハイパーカー（LMH）」カテゴリーが導入され、相互参戦が可能なLMDhとの共存が実現しました。

これにより、参加メーカーも増え、トヨタ、ポルシェ、フェラーリ、バイコレス（現ヴァンウォール）、キャデラックなど、今や9つのブランドが競い合う多様なグリッドが形成されています。また、LMP2クラスはコストの増加から規模が縮小しましたが、依然として根強い支持を受けています。

車両規定

2024年の現状では、WECは以下の3つの大きなクラスで争われています。
1. ル・マン・ハイパーカー（LMH）クラス
このクラスは最高峰であり、2021年から特に注目を集める技術が適用されています。
2. LMGT3クラス
2024年から新設され、FIA GT3規格の車両が使用されます。
3. LMP2クラス
プライベーター向けのシャシーと市販車用エンジンを基本にしたクラスで、2024年からはル・マン24時間レースにのみ参加可能です。

これらのクラス間では、リソースや性能のバランスを保つため、性能調整（BoP）が定期的に行われています。更には、2022年からは100%再生可能な燃料への移行が進められ、未来の環境問題への対応も視野に入れています。

競技規定とドライバー資格

WECでのレースは、基本的に6時間以上の耐久レースが主であり、各ドライバーは経験や実績に基づいて「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の4段階に格付けされます。この資格に応じて、レースの出場条件が設けられ、特定のクラスではブロンズドライバーが出られないなどの制約があります。

日本での開催

WECは2012年から日本でも富士スピードウェイで富士6時間レースを開催しており、年間スケジュールの中で重要な位置を占めています。このイベントはF1以来の大規模な世界選手権の開催として注目され、多くのファンが訪れました。特に、トヨタが同レースで優勝することが続くなど、地域のモータースポーツ文化にも寄与しています。

今後の展望

WECは、持続可能な未来に向けて様々な技術革新を行い、継続的に進化を遂げるでしょう。2024年には更なる参戦車両の増加が見込まれ、ファンにとっても見逃せないシーズンになることが期待されています。

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