FIFAワールドカップ カタール2022 (ABEMA)

ABEMA FIFA ワールドカップ カタール 2022

ABEMA FIFA ワールドカップ カタール 2022は、日本のストリーミングサービスABEMAが2022 [[FIFAワールドカップ]]の全64試合を無料生中継した際の番組タイトルです。通常有料となることが多いワールドカップ中継において、全試合無料という革新的な試みは、多くの視聴者から注目を集めました。

背景

従来、日本のワールドカップ中継は、NHKと民放連加盟社によるジャパンコンソーシアムが放映権を獲得していました。しかし、2022年大会は試合時間の多くが日本時間の深夜帯にあたる上、放映権料の高騰もあり、民放各局は交渉難航。最終的に、NHK、テレビ朝日、フジテレビの3局が交渉を継続する一方、日本テレビ、TBSテレビ、テレビ東京は中継から撤退しました。

このような状況下で、テレビ朝日と共同出資関係にあるサイバーエージェントのABEMAが、ワールドカップ中継に名乗りを上げました。ABEMAは開局から6年を経て技術的な安定性を増し、藤田晋社長の強い意向もあり、放映権獲得に踏み切りました。この決断は、「このままだとW杯が日本で見られないかもしれない」という危機感から生まれたと言われています。

2022年3月15日、ABEMAは全64試合の無料生中継を発表。これは、単一メディアとして日本初の試みであり、ABEMAは「生中継・同時性・無料」というコンセプトを掲げ、視聴料無料での配信を実現しました。この背景には、アジア最終予選でのDAZNによる有料配信の影響もあったとされています。

放映権料はABEMAにとって過去最大の投資であり、その原資にはCygamesの『ウマ娘 プリティーダービー』の収益が影響していることが明かされています。

制作・配信体制

ABEMAは「ABEMA FIFA ワールドカップ 2022 プロジェクト」を発足させ、全64試合の無料ライブ配信と見逃し配信を実施。テレビ朝日との共同制作により、地上波放送される41試合は並行配信、残りの23試合はABEMA独占配信となりました。地上波との同時配信でも、ABEMA独自の映像や実況・解説者を配置するなど、差別化を図りました。

全試合がフルハイビジョン画質で配信され、マルチアングル配信により、視聴者は映像アングルを自由に切り替えることができました。ABEMA内に専用ページを開設し、関連番組も集約して提供しました。

実況には、テレビ朝日のスポーツアナウンサーや系列局のアナウンサーを起用。寺川俊平アナウンサーはカタールから実況を担当しましたが、その他の試合では東京のスタジオからオフチューブで実況・解説が付けられました。スタジオパートのMCは、ABEMA専属アナウンサーの貴島明日香に加え、テレビ朝日の女性アナウンサーやフリーアナウンサーが担当。さらに、本田圭佑氏が「ABEMA FIFAワールドカップ カタール2022プロジェクト ゼネラルマネージャー」に就任し、番組を盛り上げました。

解説

解説には、現役選手や指導者を含む日本代表経験者を中心に約40名が参加。本田圭佑氏、中山雅史氏、中田浩二氏、槙野智章氏らがカタールから解説を行い、岡田武史氏が特別解説者として参加しました。人選は、テレビ朝日系列の専属解説者だけでなく、他局や配信サービスで解説を担当する人物にも依頼されました。

特に本田圭佑氏の解説は、独特の視点や話術が話題を呼び、大きな反響を呼びました。

反響と影響

ABEMAのワールドカップ中継は、日本代表戦を中心に視聴者数記録を更新し、サイバーエージェントの株価にも影響を与えました。アルゼンチン対サウジアラビア戦、日本対ドイツ戦、日本対コスタリカ戦、日本対スペイン戦、日本対クロアチア戦、決勝のアルゼンチン対フランス戦などで視聴者数記録を次々と更新しました。

サイバーエージェントの決算発表では、ワールドカップ開催期間中のABEMAの週間利用者が大幅に増加し、月間利用者数もAmazon Prime VideoやTVerを上回ったことが明らかにされました。また、日本代表の勝利や敗北に応じて、サイバーエージェントの株価が変動する現象も見られました。

受賞

ABEMAのFIFAワールドカップ中継は、第60回ギャラクシー賞フロンティア賞を受賞しました。

関連番組

FIFAワールドカップ64（テレビ朝日との共同制作）
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