FIFAワールドカップトロフィー

FIFAワールドカップトロフィーの歴史

FIFAワールドカップトロフィーは、FIFAが主催するサッカーの世界大会で優勝した国・地域に贈られる重要な賞です。このトロフィーはそのデザインと歴史から、サッカー界で特別な意味を持っています。

トロフィーの種類と変遷

ワールドカップトロフィーには、これまでに二種類のデザインがあり、実際には三代目のトロフィーが存在します。

初代トロフィー: ジュール・リメ杯

最初のトロフィーは、FIFA会長のジュール・リメに因み、「ジュール・リメ杯」と呼ばれています。このトロフィーはフランスの彫刻家アベル・ラフレールによって製作され、純銀に金メッキされた高さ35センチ、重さ3800グラムの美しい作品です。カップを支える形のデザインは、勝利の女神ニケを模しており、ブラジルが1970年に三度目の優勝を果たした際には、永久にブラジルに譲渡されました。しかし、現在ブラジルで保管されているのはレプリカです。

盗難事件

この初代トロフィーは、第二次世界大戦中、そして1966年のイングランド大会前にも盗難の試練に直面しました。特に1966年の盗難では、イングランドサッカー協会に脅迫状が送られ、その後の捜査で子犬がトロフィーを発見するという奇跡的な展開がありました。1983年にもブラジルにて再度の盗難がありましたが、未だに本物のトロフィーは行方不明のままです。

二代目トロフィー

ブラジルに永久譲渡された後、新しいデザインが公募され、イタリアの彫刻家シルビオ・ガザニガが再デザインしました。このトロフィーは18金で作られ、高さ36センチ、重さ4970グラムという仕様で、二人の選手が背中合わせで地球を支える姿が表現されています。また、1974年から2002年の大会まで使用され、次回大会の優勝国が4年間保管後、開会式で戻される形をとっていました。

三代目トロフィー

2006年のドイツ大会からは、さらに改良された三代目トロフィーが使用されます。デザインはわずかに修正され、材料もより高級なものに変更されました。このトロフィーもまた、表彰式後にFIFAが回収し、優勝国には金メッキされた真鍮製のレプリカが贈られる決まりとなりました。

FIFAワールドカップトロフィーツアー

毎回の大会に先立ち、トロフィーは世界各国を巡るツアーに参加します。2006年ドイツ大会では28カ国を訪問し、以降、各大会ごとに多数の国で一般公開が行われます。トロフィーには特別に関与した人物しか触れることができず、一般の人々にはガラスケース越しにしか見ることができないという厳格なルールが存在します。

事件とトラブル

トロフィーにまつわる事件もいくつかあり、2010年にはコロンビアの空港でコカインの塊がトロフィーのレプリカに擬装されて摘発されるという事件もありました。また、2022年には「塩振りおじさん」として知られるトルコのシェフが無許可でトロフィーに接触し、国際サッカー連盟から処分されるという出来事もありました。

授与国一覧

初代ジュール・リメ杯を受け取った国にはウルグアイやイタリアなどが含まれ、現行のFIFAワールドカップトロフィーを受けた国にはドイツ、アルゼンチン、ブラジルなど多くの名のある国が名を連ねています。

FIFAワールドカップトロフィーはサッカーの歴史において欠かせない象徴であり、その背景には数々のドラマが存在しています。

もう一度検索