FM会

FM会（えふえむかい）

FM会は、日本のプロテスタント教会である日本基督教団の内部に位置する組織であり、特にフリー・メソジスト系の伝統を受け継ぐ諸教会によって構成されています。この会は、第二次世界大戦後の日本のキリスト教界の再編期に設立され、教団内におけるフリー・メソジスト諸教会の連携と活動の基盤となってきました。

歴史的背景と組織化

日本における多くのプロテスタント教会が合同し、日本基督教団が成立したのは1941年のことでした。戦時下の教団合同という歴史的な流れの中で、国内のフリー・メソジスト系の教会群もまた、日本基督教団に加わることとなります。この際、彼らは教団内の「第8部」として位置づけられました。

終戦を迎え、教会活動の自由が回復されると、日本基督教団内部でも多様な動きが見られるようになります。フリー・メソジスト系の諸教会は、戦後の新たな状況下で、日本基督教団の一員として活動を継続するために、1947年に改めて「FM会」として組織を構築しました。これは、教団の枠組みの中で、それぞれの教会が持つフリー・メソジスト派の信仰と実践を共有し、互いに協力していくためのものでした。

二度にわたる分離

FM会として歩みを進める中で、組織のあり方や神学的な見解を巡り、内部に意見の相違が生じるようになります。これが、その後の二度にわたる分離独立へと繋がる契機となりました。

最初の分離（1953年）

一度目の分離は、FM会が設立されてから数年後の1953年5月に起こりました。FM会に所属していた一部の教会や関係者が、日本基督教団からの離脱を選択し、独自の道を歩むことを決定したのです。この時、離脱したグループは、織田金雄、宇崎竹三郎、畑野基といった指導者たちの指導の下、新たに「日本自由メソヂスト教団」を設立しました。この動きにより、日本のフリー・メソジスト系教会には、日本基督教団内に留まるFM会と、独立した日本自由メソヂスト教団という二つの流れが生まれることになりました。FM会に残った教会は、その後も日本基督教団の内部組織として活動を続けました。

二度目の分離（1982年）

最初の分離の後も、FM会内部では様々な議論が続けられました。特に、メソジスト神学において重要なテーマの一つである「アルミニアン主義」に関する解釈や、教会運営の路線などを巡る見解の相違が表面化します。そして、1982年には、アルミニアン・メソジスト主義の立場をより明確に打ち出すことを志向した一部の教会が、再びFM会および日本基督教団からの分離独立を選びました。この時に独立したグループは、畑野基（1953年の分離にも関与した人物です）と岩本助成を指導者として、「日本フリー・メソジスト教団」を設立しました。この二度目の分離を経て、日本のフリー・メソジスト系の教会群は、日本基督教団内のFM会、独立した日本自由メソヂスト教団、そして新たに加わった日本フリー・メソジスト教団という、三つの主要な流れに分かれることとなったのです。

現在のFM会

1953年、そして1982年と、二度にわたり一部の教会が分離独立する出来事を経験しましたが、FM会はその後も解散することなく、日本基督教団内部の組織として存続しています。現在、FM会は、これらの分離独立を選択せず、日本基督教団という合同教会の枠組みの中で、フリー・メソジスト派の信仰と伝統を継承し、それぞれの地域教会で宣教活動を展開している諸教会によって構成されています。FM会は、日本の教会史において、フリー・メソジスト系教会が合同教会内で独自のアイデンティティをどのように保持してきたかを示す一例といえるでしょう。

参考文献

本稿の記述は、特に以下の文献を参考にしています。

* 中村敏 著『日本における福音派の歴史』いのちのことば社、2000年。

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