FM-7

FM-7: 富士通の革新的8ビットパソコン

FM-7（エフ・エム・セブン）は、1982年に富士通によって発売された8ビットパソコンで、正式にはFUJITSU MICRO 7と呼ばれています。このモデルの登場は、富士通をパソコン業界の御三家の一つに押し上げ、シャープやNECと並んで広く知られる存在となりました。

発売背景と特徴

FM-7は、前モデルであるFM-8の後継機種として位置付けられており、開発当初はFM-8Jr.という名称で呼ばれていました。この機械は、FM-8との互換性を保ちながら、オプションとしてZ80カードを追加することで、CP/MなどのOSを利用することが可能でした。独立したメインCPUとグラフィックスサブシステムを持つ2CPUアーキテクチャにより、演算処理とグラフィック処理を効率的に分担できる設計となっていました。

FM-7は大容量のメモリ領域と高い処理速度を実現し、それによりアプリケーションの動作もスムーズでした。標準で搭載されているF-BASIC V3.0に加えて、オプションとして漢字ROMやフロッピーディスクドライブを装着することも可能です。初期のイメージキャラクターとしては、当時の人気司会者タモリが起用され、「青少年は興奮する」というキャッチコピーと共に広くプロモーションが行われました。

市場での成功と影響

FM-7の最大の特徴は、その低価格にあります。126,000円という価格設定でありながら、当時のNECの人気機種であるPC-8801が228,000円、PC-9801が298,000円であることを考えると、非常にコストパフォーマンスに優れた製品でした。このことが、特に学生を中心に多くのユーザーを惹きつけ、パソコンの普及に大きく寄与しています。

FM-7の成功は、高性能なハードウェアを搭載しながらも、コストを抑えたことに起因しており、その後のFM-7シリーズの発展へとつながります。FM-8の設計を基にしつつ、処理速度やメモリ容量の向上を図ったことは、'80年代のパソコンブームの原動力となったと言えるでしょう。

設計と技術

FM-7は、メインCPUにモトローラ社のMPU68B09を、グラフィック処理には6809を採用し、これを通じて異なる処理を効率良く行いました。これにより、ビジュアル上の描写が強化され、ユーザーは全く新しい体験を得ることができました。特に、画面の2ライン単位でのスクロール機能は、当時の技術において革新的なものでした。

また、富士通はFM-7に関する技術文書やマニュアルを積極的に公開し、ユーザーが容易に情報を取得できるよう努めました。これにより、富士通の製品に対する信頼感が高まっただけでなく、多くの開発者がFMシリーズ用のソフトウェアを開発することへの道を開くこととなりました。

後世への影響

FM-7は、多くの後継機種にその設計思想を受け継がれ、さらなる発展を遂げました。後のFM-77やFM77AVといった機種は、FM-7の革新性を受け継ぎつつも、より高性能なハードウェアを搭載することで市場における存在感を強めました。

FM-7の登場は、ただ単に一つのモデルの発売に留まらず、日本におけるパソコン市場の成長や、ユーザーの拡大に大きく貢献する要因となったことから、今でもその名が語り草となっています。その数々の機能や革新性は、パソコンの進化において重要な一歩であったと結論付けることができるでしょう。

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