FMRAAM

FMRAAM（将来型中距離空対空ミサイル）について

FMRAAM（Future Medium Range Air to Air Missile）は、アメリカのヒューズ社（現在のレイセオン社）が開発したAIM-120 AMRAAMをベースに、ラムジェットエンジンを搭載して性能向上を目指した空対空ミサイルです。AMRAAMは、現代の空戦において重要な役割を果たす中距離空対空ミサイルとして広く知られていますが、FMRAAMは、そのAMRAAMをさらに進化させたものとして位置づけられます。

開発の背景

1990年代半ば、イギリスは新型戦闘機タイフーン（ユーロファイター タイフーン）の導入を計画していました。その際、既存のAMRAAMよりも射程が長く、より高性能な空対空ミサイルを必要としていました。そこで、イギリスはAMRAAMをベースにした新型ミサイルの開発を提案し、FMRAAMが誕生しました。このミサイルは、ラムジェットエンジンを搭載することで、AMRAAMよりも長射程で高速な飛行を可能にすることを目指していました。

ミーティアとの比較審査

FMRAAMは、イギリスの要求に応えるべく開発が進められましたが、最終的に、MBDA社が開発したミーティアとの比較審査が行われました。ミーティアは、同じくラムジェットエンジンを搭載した空対空ミサイルで、FMRAAMと同等の性能を持ちながら、より高度な技術を導入していました。この比較審査の結果、ミーティアが選定され、FMRAAMは量産段階に進むことなく開発が終了しました。

FMRAAMの技術的特徴

FMRAAMは、既存のAMRAAMを基盤としているため、基本的な構造はAMRAAMと共通しています。しかし、ラムジェットエンジンの搭載により、以下の点でAMRAAMから大きく進化しています。

長射程化: ラムジェットエンジンは、通常のロケットエンジンよりも効率的な燃焼が可能であり、これによりミサイルの射程を大幅に伸ばすことができます。FMRAAMは、AMRAAMよりも長距離の目標を攻撃することが可能になるように設計されました。
高速性: ラムジェットエンジンは、ミサイルを高速で飛行させる能力があります。FMRAAMは、AMRAAMよりも高速で目標に到達することで、敵の防御を突破しやすくすることを目的としていました。
* 機動性: ラムジェットエンジンによる高速飛行に加え、FMRAAMは優れた機動性も備えていました。これにより、敵戦闘機との空中戦において優位に立つことが期待されました。

まとめ

FMRAAMは、AMRAAMをベースに、ラムジェットエンジンを搭載して性能向上を目指した空対空ミサイルでした。イギリスの新型戦闘機タイフーン向けに開発されましたが、ミーティアとの比較審査の結果、採用には至りませんでした。しかし、その開発過程で培われた技術は、後のミサイル開発に大きな影響を与えたと考えられます。FMRAAMの存在は、空対空ミサイルの進化における重要な一歩であったと言えるでしょう。

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