FRIED DRAGON FISH

FRIED DRAGON FISH: THOMAS EARWING'S AROWANA

1993年3月23日、フジテレビの深夜ドラマ枠『La cuisine』でスペシャル版として放送された後、1996年6月15日には映画『PiCNiC』との同時上映という形で劇場公開された岩井俊二監督作品『FRIED DRAGON FISH: THOMAS EARWING'S AROWANA』。芳本美代子と浅野忠信という個性的なキャストを迎え、独特の世界観で多くの観客を魅了した作品です。

あらすじ

物語の中心となるのは、酒井が経営する探偵事務所。ある日、営業マンである田口から、情報バンク『デルタワークス』の無料キャンペーンの案内を受けます。半信半疑ながらもキャンペーンを試す酒井の前に現れたのは、デルタワークス・ジャパンのマスターオペレーター、プー・リンウォン（芳本美代子）でした。

プーは、生物学者であるトーマス・アーウィング博士のペットである「ドラゴンフィッシュ」の捜索を酒井に依頼します。酒井はプーと共に、膨大なデータバンクの情報を頼りに、ドラゴンフィッシュの行方を追いかけます。

捜査を進める中で、彼らはデータバンクでも情報が一切得られない謎の男、トビヤマとそのアジトである「水族館」の存在を知ります。その過程でプーは、密入国者にして殺し屋である少年、ナツロウ（浅野忠信）と出会います。

ナツロウの過去、そしてドラゴンフィッシュの謎、そしてトビヤマの正体。これらの謎が複雑に絡み合い、物語はスリリングな展開を見せます。物語の終盤では、世界的なテロリストで戦争ブローカーであるトビヤマの企み、そして隠された真実に迫ります。

キャスト

本作は、個性豊かな登場人物たちが物語を彩ります。芳本美代子演じるプー・リンウォンは、情報社会を象徴する存在であり、浅野忠信演じるナツロウは、物語にミステリアスな影を落とす存在です。さらに、HIROSHI OHGUCHI演じるトビヤマ、DERRIK HOLMES演じるビルなど、それぞれのキャラクターが独自の個性と影をもち、物語に奥行きを与えています。脇を固める俳優陣も、物語にリアリティを与え、作品全体のクオリティを高めています。

プー・リンウォン：芳本美代子（デルタレディ、デルタ・ワークス・ジャパン マスターオペレーター）
ナツロウ（夏郎）：浅野忠信（密入国者・殺し屋）
トビヤマ テツ：HIROSHI OHGUCHI（世界的なテロリストで戦争ブローカー）
ビル：DERRIK HOLMES（黒人の殺し屋）
トーマス・アーウィング博士：ALAN CASEMORE（生物学者）
その他：酒井敏也、田口トモロヲ、光石研、青嶋達也、伊藤絋、大場健二、麻立丸、YOHICHI SUGIURA、SETSUMASA KOBAYASHI、山口晃史、藤東勤など

スタッフ

監督：岩井俊二

プロデューサー：原田泉

エクゼクティブ・プロデューサー：小川晋一、石原隆

ライン・プロデューサー：松本朋丈

撮影：金谷宏二

編集：KUNIHIRO OKAZAKI

美術：柘植万知

衣裳：高橋智加江

照明：隅田浩行

音楽：REMEDIOS

主題歌：Chara 「Break These Chain」

まとめ

『FRIED DRAGON FISH: THOMAS EARWING'S AROWANA』は、岩井俊二監督独特の映像美と、ミステリアスな物語展開が魅力の作品です。芳本美代子と浅野忠信の演技、そして個性的な脇役たちの存在も、作品に深みを与えています。情報社会の闇と、人間の心の闇を鮮やかに描いた本作は、今もなお多くのファンを魅了し続けています。また、Charaの主題歌も作品の世界観にぴったりとマッチしており、作品全体の印象を高めています。 この作品は、岩井俊二監督の他の作品、『PiCNiC』や『スワロウテイル』とも共通するテーマや表現方法が見られる点も注目に値します。

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