False (UNIX)

UNIX系オペレーティングシステムにおいて、`false`コマンドは、常に終了コード1を返すように設計された特別なコマンドです。この特性から、シェルスクリプトやコマンドライン環境において、論理的な「偽」を表す値として扱われます。`false`コマンドは、どのような引数も受け付けず、実行されると即座に終了コード1を返します。この終了コードは、コマンドの実行が失敗したことを示す標準的な方法です。

`false`コマンドの主な用途の一つは、他のコマンドの実行を意図的に失敗させることです。例えば、条件分岐を行う際に、特定の条件が満たされない場合に、その後の処理が実行されないようにするために利用されます。具体的には、シェルスクリプト内で `if`文や `while`文の条件式として使用することで、処理の流れを制御します。`false`コマンドは、単独で使用されるだけでなく、他のコマンドと組み合わせて、より複雑な処理を実現するためにも利用されます。

さらに、`false`コマンドは、ユーザーのログインシェルを制限するためにも用いられます。UNIX系システムでは、各ユーザーはログイン時に実行されるシェルプログラムを指定できます。通常は、bashやzshなどの対話的なシェルが設定されます。しかし、`/etc/passwd`ファイルにおいて、ユーザーのログインシェルを`false`に設定すると、そのユーザーは対話的なシェルにアクセスできなくなります。この設定は、特定のユーザーに対して、システムへの直接的なアクセスを許可しない場合に有効です。例えば、FTPサービスなど、シェルを必要としないサービスのみを利用するユーザーに対して、セキュリティ上の理由から対話的なシェルアクセスを制限するために使用されます。重要な点として、この設定は対話的なシェルアクセスのみを制限し、FTPのような他のサービスへのアクセスには影響を与えないということです。

`false`コマンドは、ほとんどのUNIX系システムで実行ファイルとして提供されますが、一部のシェル環境では、シェル組み込みのコマンドとして提供されている場合もあります。シェル組み込み版は、外部の実行ファイルを呼び出すオーバーヘッドを避けることができるため、わずかながら高速に実行されることがあります。`false`コマンドと対をなすコマンドとして、`true`コマンドがあります。`true`コマンドは常に終了コード0を返し、論理的な「真」を表します。これら二つのコマンドは、シェルスクリプトやコマンドライン環境において、論理的な条件判断を行う上で重要な役割を果たします。

関連する項目として`true (UNIX)`コマンドを参照すると、より理解が深まるでしょう。`false`コマンドの更なる詳細な情報については、GNU版のmanページやHP-UXのリファレンスを参照すると良いでしょう。

関連情報

• - Manpage of false GNU 版。JM Project（日本語）
• - true(1) true,false man page（HP-UX リファレンス）

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