Foot!

『Foot!』：サッカーを深く、多角的に探求するJ SPORTSの看板番組

2000年の放送開始以来、J SPORTSのサッカー専門番組として多くのファンに支持されてきた『Foot!』は、単なる試合結果やニュースの羅列に終わらず、サッカーをより深く掘り下げる独自のスタイルを確立してきた。

番組の源流は、前身チャンネルSKY sports時代の1999/2000シーズンに放送された「Match of the Week」にある。プレミアリーグとセリエAを中心に扱っていたこの番組は、2000年夏のチャンネル統合と名称変更（J SKY SPORTSへ）を機に、リーガ・エスパニョーラを加え『Foot!』として生まれ変わった。当初はJ SPORTSが放映権を持つリーグの情報を中心に構成されていたが、2003年にリーガ・エスパニョーラの放映権を失うという大きな転換点を迎える。これにより、番組は放映権を持たないリーグも積極的に取り上げる方針へとシフト。映像使用が制限される中で、ディレクターによるイラスト解説を駆使したり、アルゼンチンやブラジルといった南米サッカーのコンテンツを強化するなど、創意工夫を凝らした。

放送形態も進化を続け、2002/03シーズンからは週2回（プレビューとレビュー）となり、特定のリーグや地域に焦点を当てるスタイルが根付き始める。2006/07シーズンには「特集主義」を看板に掲げ、著名なコメンテーターや専門家がプレゼンターとして特定のテーマやクラブ、選手を深く掘り下げる構成へと移行。この時期には番組初の生放送も実施された。

2011/12シーズンには番組史上最大のリニューアルが行われ、「デイリーサッカーニュース Foot!」として月曜日から金曜日まで毎日放送される帯番組となった。これにより、その日に飛び込んできた最新のサッカートピックスを迅速に伝える体制が整う。月曜日から木曜日は、試合ハイライトや現地メディアの評価などを交えた速報性の高い内容を中心に展開。一方、金曜日は「FRIDAY "ESPECIAL"」と題し、従前の特集主義を継承しつつ、幅広いテーマや南米サッカーなどを扱う、よりディープな内容となった。

帯番組化後も内容はさらに細分化され、2012/13シーズン以降は曜日ごとに特定のリーグやテーマに特化する傾向が強まる。例えば、火曜日はベン・メイブリーをレギュラーに迎えプレミアリーグの戦術分析を、水曜日は欧州メディアの分析やJリーグ特集を、木曜日は南米サッカー専門の「キンタ・フェーラ」として、金曜日はゲストを迎えてマニアックなサッカー談義を交わす「ESPECIAL」として、それぞれ異なる切り口でサッカーを伝えた。チェーザレ・ポレンギによるセリエA解説や、Leo the footballと菅原慎吾によるリーガ・エスパニョーラ特集など、各分野の専門家が深掘り解説を担当する曜日も設けられた。

近年は放送回数が週2回（月曜日と木曜日）に縮小されたが、月曜日は欧州主要リーグの週末レビュー、木曜日は高校生年代を中心としたユースサッカーに特化するなど、専門性を維持。特に木曜日のユース特集は通年で継続され、特定の世代に焦点を当てる独自の視点を示している。

『Foot!』の魅力は、その奥深い内容に加え、独特のアートワークや音楽にもある。アートディレクションは北山雅和、オープニング・エンディング映像は北山大介が長年手掛け、特にバーチャルセットのグリーンバックは番組のエピソードとしても語り継がれている。テーマ曲はカジヒデキが多数提供しており、番組の雰囲気を彩る重要な要素だ。また、毎年行われる公開収録は、出演者とファンが直接交流する貴重な機会となっている。倉敷保雄、西岡明彦といった長年番組を牽引してきたMC陣に加え、多様なバックグラウンドを持つコメンテーターやゲストが入れ替わり立ち替わり出演し、それぞれの知見に基づいた解説や視点を提供することで、番組の多様性と深みを支えてきた。

放映権の変動や放送形態の変遷といった変化を経ながらも、『Foot!』は常にサッカーへの尽きせぬ探求心と、それを伝える多様な切り口を持ち続けてきた。日本のサッカー文化において、深く、そして多角的に世界のサッカーを伝えるその役割は大きい。今後もその独自のスタンスで、サッカーの魅力を発信し続けることが期待される番組である。

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